18.ヒトの辺縁性歯周炎における重要な基本的組織変化について
辺縁性歯周炎の病変の形態学的変化をよりよく理解するために, 再度ヒトの辺縁性歯周炎を示す歯周組織について組織学レベルでの観察を行なった. 観察材料, 23例の剖検例からえた上顎と下顎の中切歯部と第1大臼歯(唇側, 頬側, 舌側, 口蓋側)と側切歯, 犬歯部(近心側, 遠心側)の200側の歯周組織. 観察結果, 1)プラーク, 歯石の沈着は中等度から高度のものが多く, 軽いものは少なかった. 2)歯肉退縮は軽度のものが多かったが, 6歯には8mmまでポケット形成があった. 3)プラークに接する歯肉縁やポケット壁の上皮にはほとんど常に炎症性変化としての上皮細胞間隙の拡大, 上皮細胞間結合の破壊,...
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Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 26; no. 1; p. 139 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯周病学会
28.03.1984
特定非営利活動法人日本歯周病学会 The Japanese Society of Periodontology |
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ISSN | 0385-0110 |
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Summary: | 辺縁性歯周炎の病変の形態学的変化をよりよく理解するために, 再度ヒトの辺縁性歯周炎を示す歯周組織について組織学レベルでの観察を行なった. 観察材料, 23例の剖検例からえた上顎と下顎の中切歯部と第1大臼歯(唇側, 頬側, 舌側, 口蓋側)と側切歯, 犬歯部(近心側, 遠心側)の200側の歯周組織. 観察結果, 1)プラーク, 歯石の沈着は中等度から高度のものが多く, 軽いものは少なかった. 2)歯肉退縮は軽度のものが多かったが, 6歯には8mmまでポケット形成があった. 3)プラークに接する歯肉縁やポケット壁の上皮にはほとんど常に炎症性変化としての上皮細胞間隙の拡大, 上皮細胞間結合の破壊, 表層部の上皮細胞の剥離がみられた. その部の上皮下にはほとんど常に滲出性炎があって, 毛細血管, 細静脈などの拡張, 白血球の膠着, 遊出をきたしており, 上皮内にも軽度から中等度までの白血球浸潤または少数のリンパ球の遊出がみられた. このようなポケット上皮直下の滲出性炎とともに隣接部にリンパ球と形質細胞を種々の割合いに混んずる細胞浸潤がみられた. |
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ISSN: | 0385-0110 |