頭頸部筋膜隙の筋膜構成一局所解剖学的研究第2報‐顎下腺隙と耳下腺隙

頸筋膜浅葉は, 下顎枝周辺で2葉に分かれ, 顎下腺隙, 耳下腺隙, 咀嚼筋隙を構成するが, 頸筋膜浅葉の深層での拡がりには不明の点が多い. 今回は, 顎下腺隙と耳下腺隙の筋膜構成につき報告する. 【方法】大阪大学歯学部の解剖学実習用3遺体の両側で, 上記2つの筋膜隙を肉眼解剖学的に観察した. 【所見と解釈】顎下腺隙の内側壁の筋膜は2部に区分された. 一つ(筋膜A)は, 顎二腹筋中間腱や茎突舌骨筋を覆いつつこれらの筋の上縁に達し, ここを付着縁として, これより上位で, より薄い筋膜Bに移行した. 筋膜Bは茎突舌筋を覆い, 上方で反転して下顎底に達し, ここで外側壁の筋膜に合したが, 前方では,...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 468
Main Authors 北村清一郎, 松本林, 山下菊治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:頸筋膜浅葉は, 下顎枝周辺で2葉に分かれ, 顎下腺隙, 耳下腺隙, 咀嚼筋隙を構成するが, 頸筋膜浅葉の深層での拡がりには不明の点が多い. 今回は, 顎下腺隙と耳下腺隙の筋膜構成につき報告する. 【方法】大阪大学歯学部の解剖学実習用3遺体の両側で, 上記2つの筋膜隙を肉眼解剖学的に観察した. 【所見と解釈】顎下腺隙の内側壁の筋膜は2部に区分された. 一つ(筋膜A)は, 顎二腹筋中間腱や茎突舌骨筋を覆いつつこれらの筋の上縁に達し, ここを付着縁として, これより上位で, より薄い筋膜Bに移行した. 筋膜Bは茎突舌筋を覆い, 上方で反転して下顎底に達し, ここで外側壁の筋膜に合したが, 前方では, 顎舌骨筋後縁の内側を経て舌下隙に進入した. 顎下腺隙の前壁は, 顎舌骨筋の後縁付近より出て外側に向かい, 外側壁の筋膜に合した. 一方, 耳下腺隙の内側壁の筋膜は薄く, 下顎角から耳介付着部にわたる耳下腺下半の辺縁で, 外側壁の筋膜より分かれ, 顎二腹筋後腹や茎突舌骨筋を覆いつつ, 茎状突起一茎突舌筋の線に達し, これらの構造の外側面上で前壁の筋膜に移行した. 前壁の筋膜は下顎枝後縁に達し, ここで外側壁の筋膜に合した. 内側壁の前下部では, 顎二腹筋後腹を覆う筋膜と前壁の筋膜との間に比較的厚い筋膜がアーチ状に張り, 内側壁との間に, 外頸動脈や下顎後静脈をいれる陥凹を形成した.
ISSN:0385-0137