7. 慢性症状を呈した無分離腰椎すべり症に対する運動療法の検討

加齢変性を基盤とした腰痛疾患, 変性腰椎すべり症に対する運動療法の効果を検討した. 【対象および方法】3ヵ月以上症状が持続する慢性例に限定した. 49例, 男9例, 女31例, 44-82歳, 平均65.2歳と高齢. 腰部症状10例, 下肢症状11例, 間欠跛行19例. 治癒前症状持続期間は3ヵ月から20年, 平均3年4ヵ月. 追跡期間は1-6ヵ月である. 治療前後症状をJOAスコアで評価し比較検討した. 運動内容は, 腹筋(上位腹筋, 下位腹筋, 腹斜筋)強化, 殿筋強化, 腹腰筋ストレッチング, 背筋ストレッチングでその他個々の病態に合わせて追加した. 【結果】自覚症状施行前5.1, 施行...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 25; no. 5; p. 327
Main Authors 渡辺俊彦, 横江平, 山田泰信, 榊田喜三郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.09.1988
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:加齢変性を基盤とした腰痛疾患, 変性腰椎すべり症に対する運動療法の効果を検討した. 【対象および方法】3ヵ月以上症状が持続する慢性例に限定した. 49例, 男9例, 女31例, 44-82歳, 平均65.2歳と高齢. 腰部症状10例, 下肢症状11例, 間欠跛行19例. 治癒前症状持続期間は3ヵ月から20年, 平均3年4ヵ月. 追跡期間は1-6ヵ月である. 治療前後症状をJOAスコアで評価し比較検討した. 運動内容は, 腹筋(上位腹筋, 下位腹筋, 腹斜筋)強化, 殿筋強化, 腹腰筋ストレッチング, 背筋ストレッチングでその他個々の病態に合わせて追加した. 【結果】自覚症状施行前5.1, 施行後6.9, 改善率46.2%, 他覚所見5.6→5.7 25.0%, 日常動作9.7→11.5 41.9%, 総合点20.1→23.0 42.7%であり, 総合点による著明改善(改善率60-100%)16:40.0%, 改善(20-59%)17:42.5%, 不変(0-19%)6:15.0%, 悪化1:2.5%であった. 悪化および不変1例に手術を施行. 60歳以上30例の改善率42.2%, 60歳以下41.9%であった. 【まとめ】3ヵ月以上, 愁訴の持続する慢性症状を有する変性性腰椎すべり症に対して運動療法の効果を検討した. 本法はすべりの病態が加齢変性を基盤とするにもかかわらず, 非常に有効で, 60歳以上の老人でもその効果は変わらなかった. 質問 古市照人(座長):運動療法以外に何かおやりですか. 運動療法時に注意すべきことで特に何かおやりですか. 答 渡辺俊彦:座長の質問に対して ; 高血圧 心疾患等が問題となるが, この点は, 問診でチェック, 心疾患のあるものはEKGをとり, 高血圧例は特に運動療法を開始した初期は, 前後で血圧のチェック等を行っている. また自分のペースで運動量を軽度から始め, 徐々に程度をあげている. その他の合併症として, knee-chest exerciseの時, これは介助でするが, 老人なので肋骨がもろく, 肋骨骨折を起こした例が2例あった.
ISSN:0034-351X