3. ラット耳下腺細胞のコリン性・アドレナリン性刺激による多様な反応

腺房と導管からなる唾液腺は, コリン作動性・アドレナリン作動性の両刺激による細胞内Ca2+濃度上昇により唾液分泌が引き起こされることが知られている. しかし, そのメカニズムの詳細は明らかにされていない. そこで, Ca2+蛍光指示薬Fura-2を細胞内へ導入し細胞内Ca2+濃度変化について検討した. カルバコールによるコリン性刺激では, 腺房細胞が導管細胞より有意に大きな反応を示した. 逆に, ノルアドレナリンによるアドレナリン性刺激では, 導管細胞の方が有意に大きな反応を示した. また, 各受容体サブタイプのアンタゴニストを用いた実験により, コリン性の刺激は主にM3受容体を介し, アドレ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 62; no. 5; p. 157
Main Authors 稲垣智浩, 小野堅太郎, 細川隆司, 稲永清敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.01.2009
Kyushu Dental Society
Online AccessGet full text
ISSN0368-6833

Cover

More Information
Summary:腺房と導管からなる唾液腺は, コリン作動性・アドレナリン作動性の両刺激による細胞内Ca2+濃度上昇により唾液分泌が引き起こされることが知られている. しかし, そのメカニズムの詳細は明らかにされていない. そこで, Ca2+蛍光指示薬Fura-2を細胞内へ導入し細胞内Ca2+濃度変化について検討した. カルバコールによるコリン性刺激では, 腺房細胞が導管細胞より有意に大きな反応を示した. 逆に, ノルアドレナリンによるアドレナリン性刺激では, 導管細胞の方が有意に大きな反応を示した. また, 各受容体サブタイプのアンタゴニストを用いた実験により, コリン性の刺激は主にM3受容体を介し, アドレナリン性の刺激は主にα1受容体を介していることが確認された. しかし, 導管細胞においては一部β1受容体刺激による反応が含まれていた
ISSN:0368-6833