2.末梢型肺血栓症に特発性間質性肺炎を合併した1例
症例, 40歳男性, 農業, 平成14年7月より労作時息切れが出現し9月11日当科受診. 胸部レントゲンおよびCTにて両下葉に気管支血管束の肥厚と胸膜直下に多発する斑状影を認めた. 低酸素血症(PO2 66.5 torr, PCO2 45.5 torr)を認め, 拘束性換気障害(VC2. 31L, %VC58. 2%)であり, 拡散能も低下していた(%DLCO69. 0%). 換気血流シンチでは, 両下肺に換気, 血流と一致した欠損を認めた. 10月9日, VATS施行. 筋性肺動脈の肥厚と再疎通像を認め, 肺血栓症後と考えられた. また, 末梢肺にはNSIP(非特異性間質性肺炎)像を認めた(...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 1; p. 37 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.02.2004
Kitakanto Medical Society |
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ISSN | 1343-2826 |
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Summary: | 症例, 40歳男性, 農業, 平成14年7月より労作時息切れが出現し9月11日当科受診. 胸部レントゲンおよびCTにて両下葉に気管支血管束の肥厚と胸膜直下に多発する斑状影を認めた. 低酸素血症(PO2 66.5 torr, PCO2 45.5 torr)を認め, 拘束性換気障害(VC2. 31L, %VC58. 2%)であり, 拡散能も低下していた(%DLCO69. 0%). 換気血流シンチでは, 両下肺に換気, 血流と一致した欠損を認めた. 10月9日, VATS施行. 筋性肺動脈の肥厚と再疎通像を認め, 肺血栓症後と考えられた. また, 末梢肺にはNSIP(非特異性間質性肺炎)像を認めた(病理診断:京大病院病理部北市正則助教授). 右心カテにて肺高血圧症を認めず, 肺動脈造影も異常なし. 凝固系はD-ダイマーの軽度上昇の他は正常. 11月28日よりPSL60mg, ワーファリン1mg開始, 4週後より, PSL漸減開始. 症状および画像所見は次第に改善す(PO2 87.6 torr, VC2.70L, %VC68.2%). PSL 17.5mgまで減量し退院外来にて15mgで維持している. 片側優位の腺維化と同側の肺血栓塞栓症を合併したという報告はあるが, その機序は明らかでない. 今回我々は, NSIPの発症が末梢型肺血栓症発症に関与したと思われる極めて稀な症例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 1343-2826 |