計8回の再発を繰り返した帯状疱疹の一症例

計8回の再発を繰り返した帯状疱疹症例の治療を経験した. 〔症例〕症例は39歳, 女性. 主訴は右大腿前面のピリピリとした持続痛. 現病歴は, 平成10年3月26日, 右大腿前面に針で刺されるような痛みが出現し, 4月1日には同部に水疱の形成をみた. 同7日, 本学内科を受診, 帯状疱疹の診断にてアシクロビルの点滴静注を5日間連続で受けた. しかし, 痛みが増強するために, 同23日, 当科を紹介受診となる. 既往歴は19歳時よりSLEの診断にて, 副腎皮質ホルモン剤の投与を受けている. また, 20歳時より現在までに計7回, 帯状疱疹の既往があるが, 痛みは2週間以内に消失したとのことである....

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Published inPAIN RESEARCH Vol. 13; no. 3; p. 133
Main Authors 河田圭司, 森本昌宏, 蔵昌宏, 村上晴也, 坂口雅彦, 山住勲, 口分田理, 古賀義久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本疼痛学会 05.12.1998
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ISSN0915-8588

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Summary:計8回の再発を繰り返した帯状疱疹症例の治療を経験した. 〔症例〕症例は39歳, 女性. 主訴は右大腿前面のピリピリとした持続痛. 現病歴は, 平成10年3月26日, 右大腿前面に針で刺されるような痛みが出現し, 4月1日には同部に水疱の形成をみた. 同7日, 本学内科を受診, 帯状疱疹の診断にてアシクロビルの点滴静注を5日間連続で受けた. しかし, 痛みが増強するために, 同23日, 当科を紹介受診となる. 既往歴は19歳時よりSLEの診断にて, 副腎皮質ホルモン剤の投与を受けている. また, 20歳時より現在までに計7回, 帯状疱疹の既往があるが, 痛みは2週間以内に消失したとのことである. 家族歴に特記すべき事項はない. 〔初診時現症〕右第2腰神経領域に一致してVAS45/100の痛みを訴え, 同部の冷温覚鈍麻, 痛覚過敏を認めた. 〔治療経過〕注射に対する恐怖心が強いこともあり, 4%リドカインとメチルプレドニゾロンによるイオントフォレーシス療法より治療を開始したところ, VASは25/100となった. 以後, 同様の治療を1回/週で計10回施行し, 6月29日には完治を得た. 〔考察〕再発性帯状疱疹は極めて稀な疾患であるが, 本症例のようにSLE合併例においてその頻度が高く, また, 若年発症例での再発が多いと報告されており, 本症例と合致する点が多い. なお, 本症例では過去7回の帯状疱疹発症時には, 痛みは2週間で消失しており, 帯状疱疹後神経痛への移行はみられなかったが, 今回に限り寛解に3ヵ月を要した要因は不明である. いずれにしても, 計8回再発を繰り返したとする帯状疱疹に関する文献的報告が見あたらないことからも興味深い一症例であると考える.
ISSN:0915-8588