23. ラットの口腔顔面癌モデルにおける三叉神経脊髄路核尾側亜核内のc-FOSタンパクの発現増加

最近我々が開発したラットの口腔顔面癌モデルでは, 癌細胞接種側に機械的刺激に対するallodynia(異痛症)や熱刺激に対するhyperalgesia(痛覚過敏)が接種後4, 7日目に発症する. しかし接種後10日目には機械・熱刺激に対しては低感受性を示すものの, 痛みの指標の一つである顔面グルーミング時間はさらなる延長を見せる. この10日目における痛みを分析するため, 癌細胞接種側の腫脹部位とその周辺に対する熱刺激検査, ならびに三叉神経脊髄路核尾側亜門におけるFOS蛋白の発現について検討したところ, 接種後4, 7, 10日目全てに接種側のFOS蛋白の有意な増加を認め, 10日目における...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 62; no. 5; p. 170
Main Authors 原野望, 小野堅太郎, 稲永清敏, 仲西修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.01.2009
Kyushu Dental Society
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ISSN0368-6833

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Summary:最近我々が開発したラットの口腔顔面癌モデルでは, 癌細胞接種側に機械的刺激に対するallodynia(異痛症)や熱刺激に対するhyperalgesia(痛覚過敏)が接種後4, 7日目に発症する. しかし接種後10日目には機械・熱刺激に対しては低感受性を示すものの, 痛みの指標の一つである顔面グルーミング時間はさらなる延長を見せる. この10日目における痛みを分析するため, 癌細胞接種側の腫脹部位とその周辺に対する熱刺激検査, ならびに三叉神経脊髄路核尾側亜門におけるFOS蛋白の発現について検討したところ, 接種後4, 7, 10日目全てに接種側のFOS蛋白の有意な増加を認め, 10日目におけるthermal hyperalgesiaは腫脹部位周辺に未だに持続していた. この結果は, 本モデルから発生される痛みが, 腫瘍の増大とともに周辺組織に波及していることを示唆している.
ISSN:0368-6833