画像解析装置を用いた歯肉色調の解析について-その10.歯肉色と歯肉の腫脹との関係
[目的]近年医療の分野では, 予防歯科が注目されており, スクリーニングが重要視されている我々は歯肉色に着目し, 独自に開発した規格撮影法を用いて規格写真撮影を行い, 撮影した歯肉の口腔内写真をコンピュータに取り込み画像解析するとともに, その数値化およびイメージ化する方法を考案し, 病的歯肉色と健全歯肉色との比較検討などを行い逐次報告してきた. 今回我々は, 歯肉の月動長を二次元的にとらえ, 歯肉色との関連性を検討した, [対象と方法]某女子短期大学の学生ボランティアの中から歯周組織検査の結果健全歯肉と診断された者を対象とした実験開始前に口腔内写真撮影を一連の研究と同様に行った(健全歯肉群N...
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Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 45; no. suppl-1; p. 154 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯周病学会
25.09.2003
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Subjects | |
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ISSN | 0385-0110 |
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Summary: | [目的]近年医療の分野では, 予防歯科が注目されており, スクリーニングが重要視されている我々は歯肉色に着目し, 独自に開発した規格撮影法を用いて規格写真撮影を行い, 撮影した歯肉の口腔内写真をコンピュータに取り込み画像解析するとともに, その数値化およびイメージ化する方法を考案し, 病的歯肉色と健全歯肉色との比較検討などを行い逐次報告してきた. 今回我々は, 歯肉の月動長を二次元的にとらえ, 歯肉色との関連性を検討した, [対象と方法]某女子短期大学の学生ボランティアの中から歯周組織検査の結果健全歯肉と診断された者を対象とした実験開始前に口腔内写真撮影を一連の研究と同様に行った(健全歯肉群Normal Group:NG). その後, 一週間口腔清掃を中止させ, 同様の方法で撮影を行った(病的歯肉群Diseased Group:DG). 撮影した画像をコンピュータ(GATEWAY, G7-500, GATEWAY, U. S. A)に入力後, 画像編集ソフト(Adobe pbotoshop5.5J, Adobe, U. S. A)を用いて光の3原色であるRGBに分解し, RGB別に色の補正を行った後, 画像解析ソフト(NIH-Image, NIH, U. S. A)を用いてRGB別にNGとDGそれぞれの遊離歯肉部と付着歯肉部の輝度インデックスを測定した. つぎに, 画像編集ソフトにてRGB分解前のNGとDGの画像の重ね合わせを行い, 下顎右側犬歯近心部から左側犬歯近心部五箇所の歯間乳頭部歯肉の切り取りを行った. なお, 各歯間乳頭部歯肉の切り取り範囲は, NGとDGの重ね合わせ画像で, 歯冠方向に10mm, 近遠心的に5mmの長方形で, 歯冠方向の設定, すなわち長方形の底辺は, 中切歯の歯軸に垂直にDGの隣接する歯の歯肉マージンの最根尖部とし, 一方, 長方形の横軸, すなわち近遠心的中央はそれぞれの歯のコンタクトポイントの延長線上に位置するように設定した. 他方, 右側犬歯部と隣接する側切歯の乳頭部歯肉をA部とし, 左側へ順に各乳頭部歯肉をB部, C部, D部, E部とした. その後, 各乳頭部歯肉別に歯肉のピクセル数を測定し, NGとDGにおいて, 総ピクセル数の差, およびA部, B部, C部, D部, E部におけるピクセル数の差を求め, NGとDGの歯肉色の輝度インデックスとの関係についても比較検討した. [結果と考察]NGとDGにおいて, 総ピクセル数を比較したところ, DGの方がNGよりもピクセル数が多かった. さらに, NGとDGのピクセル数の差, すなわち, A部, B部, C部, D部, E部における比較では, 部位における差の傾向がわずかに認められた. また, NGとDGの総ピクセル数の差とNGとDGの歯肉色の輝度インデックスとの関連性については, NGとDGともに輝度インデックスが高い症例ほど総ピクセル数の差が大きい傾向がみられた. 以上のことより, NGからDGへの二次元的な歯肉の形態の変化は, RGBの各輝度インデックス値と相関関係があることが確認できた. |
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ISSN: | 0385-0110 |