段階的難易度設定による片麻痺者の歩行練習 - 健側下肢による患側下肢の振出し

「要旨」片麻痺者の歩行練習の難易度を低減するため, 健側下肢を主体とした段階的難易度設定による歩行練習を考案し, その効果について検討した. 症例は, 脳梗塞による左片麻痺を呈した70歳男性である. 介入前評価(10~12病日)では, ブルンストロームステージで上肢I, 手指I, 下肢IIレベルであった. 歩行は, 長下肢装具を装着し, 平行棒を把持して近位監視下~軽介助で可能であった. 介入は, 13病日より開始した. まず歩行練習の前に立位保持やステップを含む5つの基本練習を実施した. 歩行練習は, 4段階・3条件に分け, 条件1から順に段階1→4に向けて実施した. その結果, 介入から4...

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Published in行動リハビリテーション Vol. 12; pp. 27 - 31
Main Authors 中山智晴, 堅田明靖, 森純氣, 和田譲, 有澤雅彦, 山崎裕司, 松下拓也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 行動リハビリテーション研究会 31.03.2023
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ISSN2186-6449

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Summary:「要旨」片麻痺者の歩行練習の難易度を低減するため, 健側下肢を主体とした段階的難易度設定による歩行練習を考案し, その効果について検討した. 症例は, 脳梗塞による左片麻痺を呈した70歳男性である. 介入前評価(10~12病日)では, ブルンストロームステージで上肢I, 手指I, 下肢IIレベルであった. 歩行は, 長下肢装具を装着し, 平行棒を把持して近位監視下~軽介助で可能であった. 介入は, 13病日より開始した. まず歩行練習の前に立位保持やステップを含む5つの基本練習を実施した. 歩行練習は, 4段階・3条件に分け, 条件1から順に段階1→4に向けて実施した. その結果, 介入から40日目(53病日)に2動作のT字杖歩行が近位監視で可能となった. 随意性に大きな変化は認められなかったにもかかわらず, 比較的短期間で歩幅の延長, 歩行速度の改善が得られたことから, 本介入は, 能動的な患側下肢振り出しスキルの学習に有効と考えられた.
ISSN:2186-6449