耳・聴覚領域

「I はじめに」近年, 成人の難治性中耳炎が注目を集めている. 難治性中耳炎の特徴としては以下が挙げられる. 1)従来の中耳炎に対する保存的治療(抗菌薬投与, 鼓膜切開, 鼓膜チューブ留置, 等)に抵抗する, 2)診断がつきにくい, 3)再燃・再発をくりかえす, 4)手術療法で完治しない, 5)合併症を引き起こす(内耳障害, 顔面神経麻痺, 等). これらに当てはまる種々の難治性中耳炎の病態が明らかになってきた. これらは診断さえ確定すれば治癒あるいは改善に導ける疾患も存在する. 今回提示する難治性中耳炎症例はまさしく診断に苦慮し, 診断的治療を開始したものの改善に導くことができず, 結局は不...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 118; no. 12; pp. 1475 - 1478
Main Author 飯野ゆき子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.12.2015
Online AccessGet full text
ISSN0030-6622

Cover

More Information
Summary:「I はじめに」近年, 成人の難治性中耳炎が注目を集めている. 難治性中耳炎の特徴としては以下が挙げられる. 1)従来の中耳炎に対する保存的治療(抗菌薬投与, 鼓膜切開, 鼓膜チューブ留置, 等)に抵抗する, 2)診断がつきにくい, 3)再燃・再発をくりかえす, 4)手術療法で完治しない, 5)合併症を引き起こす(内耳障害, 顔面神経麻痺, 等). これらに当てはまる種々の難治性中耳炎の病態が明らかになってきた. これらは診断さえ確定すれば治癒あるいは改善に導ける疾患も存在する. 今回提示する難治性中耳炎症例はまさしく診断に苦慮し, 診断的治療を開始したものの改善に導くことができず, 結局は不幸な転機をとった症例である. 「II 症例」症例: 68歳 男性 主訴:右難聴, 耳漏 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成22年6月, 右耳痛あり, 近医受診, 鼓膜切開を受けた. その後鼓膜穿孔からの耳漏が持続.
ISSN:0030-6622