関東大学アメリカンフットボールにおける過去32年間 (1991-2022) の秋季公式戦時の外傷報告の検討

〔要旨〕1つの競技において, 30年以上の長期にわたり外傷を調査した報告は非常に少ない. 今回, 我々はアメリカンフットボールにおいて関東大学の過去32年間の公式試合時における外傷を調査し検討を行ったので報告する. 1991年から2022年までの32年間の秋季公式戦で発生し, 外傷報告書に記入されたものを対象として集計し, 先行研究に準じて外傷発生件数と比率, 外傷内容, 外傷名, 受傷部位, ポジション, クォーターの6項目に着目して検討を行った. この32年間の公式戦中に発生した外傷総数は8570件で, 1試合平均1.45件であった. 外傷名では膝関節靭帯損傷と足関節靭帯損傷が1234件,...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 33; no. 2; pp. 246 - 256
Main Authors 反町武史, 藤谷博人, 川原貴, 月村泰規, 立石智彦, 中山晴雄, 植原健二, 齋藤良彦, 小松太一, 山田慎, 金子博徳, 森達郎, 福田崇, 麻生敬, 青柳康史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 30.04.2025
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕1つの競技において, 30年以上の長期にわたり外傷を調査した報告は非常に少ない. 今回, 我々はアメリカンフットボールにおいて関東大学の過去32年間の公式試合時における外傷を調査し検討を行ったので報告する. 1991年から2022年までの32年間の秋季公式戦で発生し, 外傷報告書に記入されたものを対象として集計し, 先行研究に準じて外傷発生件数と比率, 外傷内容, 外傷名, 受傷部位, ポジション, クォーターの6項目に着目して検討を行った. この32年間の公式戦中に発生した外傷総数は8570件で, 1試合平均1.45件であった. 外傷名では膝関節靭帯損傷と足関節靭帯損傷が1234件, 1218件とほぼ同数で全体の3割程度を占めていた. 受傷部位でも膝関節が1522件と最多で, 以下, 足関節1409件, 肩・鎖骨957件, 下腿921件, 頭部862件であった. ポジション別ではディフェンスラインが1388件16.2%と最も多く, 続いてラインバッカー1297件15.1%, ディフェンスバック1198件14.0%と守備側に多く発生していた. クォーター別では試合の終盤である第4クォーターが2466件と最多であった. また, この32年間を6つの時期に分け検討するとCOVID-19に影響を受けた時期は, 諸家の報告と同様に外傷の発生が多い傾向にあった. 本調査結果を現場にフィードバックして, 今後の安全対策に役立てていきたい.
ISSN:1346-4159