口腔・咽頭・喉頭・気管食道領域

「I はじめに」診断に至る基本的なプロセスには領域や科を超えた普遍性がある. 病歴聴取と身体診察所見により疾患のアウトラインを描き, 必要な検査により鑑別疾患を絞り込み, 診断根拠を積み上げ, 修正あるいは補強を繰り返すことにより確定診断に至る. これが通常われわれが日常診療で行っている過程であろう. もちろんこの過程で学習と経験に裏打ちされたさまざまな疾患(群)の特徴を想起することが不可欠となる. ところが時に, 経験と知識に導かれた先入観が, 逆に正しい診断の妨げになることもあるので注意を要する. 「II 症例提示」【初診時から手術直前まで】症例: 59歳 男性 (無職) 現病歴: 20X...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 118; no. 12; pp. 1485 - 1488
Main Author 林達哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.12.2015
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ISSN0030-6622

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Summary:「I はじめに」診断に至る基本的なプロセスには領域や科を超えた普遍性がある. 病歴聴取と身体診察所見により疾患のアウトラインを描き, 必要な検査により鑑別疾患を絞り込み, 診断根拠を積み上げ, 修正あるいは補強を繰り返すことにより確定診断に至る. これが通常われわれが日常診療で行っている過程であろう. もちろんこの過程で学習と経験に裏打ちされたさまざまな疾患(群)の特徴を想起することが不可欠となる. ところが時に, 経験と知識に導かれた先入観が, 逆に正しい診断の妨げになることもあるので注意を要する. 「II 症例提示」【初診時から手術直前まで】症例: 59歳 男性 (無職) 現病歴: 20XX年5月頃から下顎歯肉に腫瘤を自覚したが, 多忙のため放置していた. 同年10月, 胆石による閉塞性黄疸にて近医内科に入院中, 口腔内の腫瘤を指摘され, 某病院耳鼻咽喉科を紹介された. この間, 腫瘍の急速な増大により経口摂取が困難になったため, 入院先の内科で経鼻経管栄養が開始された.
ISSN:0030-6622