外傷・障害予防プログラム「FIFA 11+」が大学女子サッカー選手の膝前十字靭帯損傷危険率に与える影響

〔要旨〕本研究は, 大学女子サッカー選手に対する外傷・障害予防プログラム「FIFA 11+」の介入が, 膝前十字靭帯 (ACL) 損傷危険率予測指標を用いて算出したACL損傷危険率に与える影響を調査した. 関東大学女子サッカーリーグ1部に所属する7チーム235名を対象とし, 介入群4チーム115名, コントロール群3チーム120名に割り当てた. 介入期間は2013年4月から12月までの1シーズンとし, 介入群とコントロール群における非無作為化比較試験を行った. 測定項目として, 介入前後に2次元計測によるDrop Vertical Jump時の膝内側変位量, 膝屈曲角度変化量および脛骨長, 体...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 30; no. 1; pp. 123 - 133
Main Authors 馬越博久, 干場拓真, 広瀬統一, 福林徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.01.2022
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕本研究は, 大学女子サッカー選手に対する外傷・障害予防プログラム「FIFA 11+」の介入が, 膝前十字靭帯 (ACL) 損傷危険率予測指標を用いて算出したACL損傷危険率に与える影響を調査した. 関東大学女子サッカーリーグ1部に所属する7チーム235名を対象とし, 介入群4チーム115名, コントロール群3チーム120名に割り当てた. 介入期間は2013年4月から12月までの1シーズンとし, 介入群とコントロール群における非無作為化比較試験を行った. 測定項目として, 介入前後に2次元計測によるDrop Vertical Jump時の膝内側変位量, 膝屈曲角度変化量および脛骨長, 体重, Quadriceps/Hamstrings比の5項目を計測した. ACL損傷危険率予測指標を用いて, 計測した5項目から着地時の高い膝外反モーメントとなる確率を示すACL損傷危険率 (pKAM) を算出した. 膝内側変位量, 膝屈曲角度変化量, pKAMを「FIFA 11+」の介入効果に対するアウトカムとし, プログラムの介入前後および群間の比較を行った. その結果, 介入群はプログラム介入後に膝内側変位量の減少, 膝屈曲角度変化量の増大を認め, pKAMの減少を示した. 「FIFA 11+」は, 大学女子サッカー選手においてACL損傷危険率を下げる効果を示したことから, ACL損傷の予防に対して期待できるプログラムであることが示唆された.
ISSN:1346-4159