重度Pusher症状を呈した片麻痺症例に対する立位練習 - 非麻痺側下肢への長下肢装具装着の効果

「要旨」本研究では, これまでの重度Pusher症状に対する立位練習では立位保持能力の改善が得られなかった片麻痺患者に対して, 非麻痺側下肢への長下肢装具を適応した立位練習を考案し, その効果について検討した. 対象は重度左片麻痺, Pusher症状を呈した80代女性であった. 発症後3ヶ月の時点まで鏡, 後方の壁, 非麻痺側前腕支持, 麻痺側長下肢装具, 外転防止台を用いた立位練習を実施した. しかし, この条件でも立位保持はできなかった. 92病日から非麻痺側下肢に長下肢装具を適応し, 段階的に装具を除去する介入を実施した. その結果, 8日目には, 左右に短下肢装具を装着した状態でトイレ...

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Published in行動リハビリテーション Vol. 12; pp. 16 - 19
Main Authors 久郷聡太, 加藤宗規, 山崎裕司, 上村朋美, 成毛修平, 宗像涼矢, 辛寿全, 辛秀雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 行動リハビリテーション研究会 31.03.2023
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ISSN2186-6449

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Summary:「要旨」本研究では, これまでの重度Pusher症状に対する立位練習では立位保持能力の改善が得られなかった片麻痺患者に対して, 非麻痺側下肢への長下肢装具を適応した立位練習を考案し, その効果について検討した. 対象は重度左片麻痺, Pusher症状を呈した80代女性であった. 発症後3ヶ月の時点まで鏡, 後方の壁, 非麻痺側前腕支持, 麻痺側長下肢装具, 外転防止台を用いた立位練習を実施した. しかし, この条件でも立位保持はできなかった. 92病日から非麻痺側下肢に長下肢装具を適応し, 段階的に装具を除去する介入を実施した. その結果, 8日目には, 左右に短下肢装具を装着した状態でトイレ介助中の立位保持が可能となった. 短期間の間に立位保持能力が向上したことから, 今回の介入は重度Pusher症状を呈する重度片麻痺患者の立位練習として有効に機能したものと考えられた.
ISSN:2186-6449