症例報告:骨盤内臓全摘除術により寛解を得た進行直腸癌による膀胱直腸瘻の1例

症例は55歳, 男性. 頻尿, 排尿時痛, 右側腹部痛を主訴に近医を受診した. 画像所見にて膀胱癌が疑われ, 当科紹介受診となった. 精査にて膀胱直腸瘻を認め, 直腸原発の進行癌の診断のもと, 骨盤内臓全摘除術が施行された. 術後, 病理組織学的検査にて, 直腸癌の膀胱浸潤による膀胱直腸瘻と診断された. 手術により原発巣は完全に摘除され, その後再発・転移は認めていない. 膀胱直腸瘻はその原因診断が困難ではあるが, 本症例の様に積極的に治療を行なうことにより良好な予後を得られる場合もある. 今後, 術前診断技術の向上が望まれるが, 症例に応じた積極的治療の検討が必要であると考えられた. 「緒言...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 58; no. 6; pp. 694 - 698
Main Authors 山佳子, 藤田哲夫, 平山貴博, 松下恒久, 風間暁男, 高野靖悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 01.03.2010
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ISSN0468-2513

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Summary:症例は55歳, 男性. 頻尿, 排尿時痛, 右側腹部痛を主訴に近医を受診した. 画像所見にて膀胱癌が疑われ, 当科紹介受診となった. 精査にて膀胱直腸瘻を認め, 直腸原発の進行癌の診断のもと, 骨盤内臓全摘除術が施行された. 術後, 病理組織学的検査にて, 直腸癌の膀胱浸潤による膀胱直腸瘻と診断された. 手術により原発巣は完全に摘除され, その後再発・転移は認めていない. 膀胱直腸瘻はその原因診断が困難ではあるが, 本症例の様に積極的に治療を行なうことにより良好な予後を得られる場合もある. 今後, 術前診断技術の向上が望まれるが, 症例に応じた積極的治療の検討が必要であると考えられた. 「緒言」膀胱腸瘻の原因は先天性, 外傷性, 炎症性, 腫瘍性の4つに大別される1, 2). 気尿や糞尿といった特異的な症状を呈することもあるが, その診断は困難なことも少なくない3). 今回我々は, 進行直腸癌による膀胱直腸瘻に対して骨盤内臓全摘除術が施行され, 寛解を得た1例を経験したので報告する.
ISSN:0468-2513