Shishihakuhito, a Kampo medicine for atopic dermatitis, suppresses NGF-induced neurite extension by inhibition of MEK/ERK signaling in PC12D cells
梔子柏皮湯は, 山梔子, 黄柏, 甘草の3つの構成生薬より熱水抽出した水製乾燥エキスであり, アトピー性皮膚炎(AD)の漢方治療薬である. これまでに私たちは梔子柏皮湯の薬理メカニズムの解明研究を行い, 梔子柏皮湯が, LPS誘導性NF-κB依存的転写活性および抗原誘発性ヒスタミン遊離を抑制することを明らかにした. 近年, 皮膚に投射する知覚神経線維における神経成長因子(NGF)シグナリングがADの痒みやそう痒に関与することが報告されている. 本研究では, ラット副腎褐色細胞腫由来のPC12D細胞におけるNGF誘発性の神経突起伸展に対する梔子柏皮湯エキスの影響を検討した. さらに, NGF誘導...
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| Published in | Journal of Traditional Medicines Vol. 28; no. 1; pp. 16 - 59 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
和漢医薬学会
2011
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1880-1447 |
Cover
| Summary: | 梔子柏皮湯は, 山梔子, 黄柏, 甘草の3つの構成生薬より熱水抽出した水製乾燥エキスであり, アトピー性皮膚炎(AD)の漢方治療薬である. これまでに私たちは梔子柏皮湯の薬理メカニズムの解明研究を行い, 梔子柏皮湯が, LPS誘導性NF-κB依存的転写活性および抗原誘発性ヒスタミン遊離を抑制することを明らかにした. 近年, 皮膚に投射する知覚神経線維における神経成長因子(NGF)シグナリングがADの痒みやそう痒に関与することが報告されている. 本研究では, ラット副腎褐色細胞腫由来のPC12D細胞におけるNGF誘発性の神経突起伸展に対する梔子柏皮湯エキスの影響を検討した. さらに, NGF誘導性の神経突起伸展に関わる主要な細胞内シグナル伝達系の1つであるERKカスケードを構成するMEKおよびERKのリン酸化レベルに対する本剤の作用について検討した. その結果, PC12D細胞において, 梔子柏皮湯エキスは10ng/mlのNGFによって誘導される神経突起伸展を10μg/mlの濃度で抑制した. さらに, 本剤はNGF誘発性のMEKおよびERKのリン酸化の上昇を抑制した. これらの所見より, 梔子柏皮湯は知覚神経のNGFシグナリングの抑制により, アトピー性皮膚炎における痒みおよびそう痒を軽減する可能性が示唆された. |
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| ISSN: | 1880-1447 |