Comparison of the effects of keishibukuryogan and atorvastatin on balloon injury-induced intimal thickening in rat carotid artery

桂枝茯苓丸(KBG)については, これまでに高コレステロール(CH)食摂取ウサギにおける動脈硬化を抑制することが報告されている. 今回, ラット頚動脈のバルーン傷害による血管内膜肥厚に対するKBGの作用を, 通常食および高CH食摂取下でHMG-CoA還元酵素阻害薬のアトルバスタチン(ATS)と比較した. その結果, 通常食摂取下ではATSは内膜肥厚を抑制しなかったが, KBGは有意に抑制した. 高CH食摂取下では内膜肥厚は通常食摂取下よりも増大したが, ATSおよびKBGはともに内膜肥厚を有意に抑制した. 通常食摂取下では両薬物は血清CHに影響を与えなかった. 高CH食摂取により血清CHは著明...

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Published inJournal of Traditional Medicines Vol. 27; no. 1; pp. 30 - 60
Main Authors Yasuo Morimotoa, Yujiro Shibataa, Sayaka Ochiaia, Fumio Oginob, Mosaburo Kainumac, Tadamichi Mitsumad
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 和漢医薬学会 2010
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ISSN1880-1447

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Summary:桂枝茯苓丸(KBG)については, これまでに高コレステロール(CH)食摂取ウサギにおける動脈硬化を抑制することが報告されている. 今回, ラット頚動脈のバルーン傷害による血管内膜肥厚に対するKBGの作用を, 通常食および高CH食摂取下でHMG-CoA還元酵素阻害薬のアトルバスタチン(ATS)と比較した. その結果, 通常食摂取下ではATSは内膜肥厚を抑制しなかったが, KBGは有意に抑制した. 高CH食摂取下では内膜肥厚は通常食摂取下よりも増大したが, ATSおよびKBGはともに内膜肥厚を有意に抑制した. 通常食摂取下では両薬物は血清CHに影響を与えなかった. 高CH食摂取により血清CHは著明に上昇し, これに対してKBGは影響を及ぼさなかったが, ATSは抑制傾向を示した. バルーン傷害により血管組織内の過酸化脂質は正常血管よりも有意に増加したが, 両薬物はこの増加に対して作用を示さなかった. 今回の結果から, ATSは血清CHが高い状態ではそれを低下させ, 内膜肥厚を抑制するのに対し, KBGは血清CHの状態に関わらず, 血清CHに影響を与えずに内膜肥厚を抑制することが示唆された. また, バルーン傷害による内膜肥厚には酸化ストレスが関与しているが, ATSおよびKBGは酸化ストレスを抑制して内膜肥厚を抑制したのではないと考えられる.
ISSN:1880-1447