Differences in human gene expression induced by tokishakuyakusan containing different grades of Angelica radix
当帰は, 月経不順などの婦人科疾患によく用いられる生薬である. 当帰等級の薬効の違いを解明することを目的に, cDNAマイクロアレイを使った網羅的遺伝子発現解析により, 2種類の等級の服用間で発現に差がある遺伝子を探索した. 奈良県産最高級大和当帰と中国産最低級大和当帰を, それぞれ配合した当帰芍薬散を, 2グループの女性に4週間投与し, その前後で末梢血採取を行った. 高級大和当帰は24名, 低級大和当帰は18名に与えた. 部分最小二乗-識別分析(PLS-DA)とStudentのt-検定を共に用いて, 末梢血解析により得られた遺伝子発現データを検定することにより, (1)2種類の当帰芍薬散投...
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          | Published in | Journal of Traditional Medicines Vol. 27; no. 4; pp. 166 - 195 | 
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| Main Author | |
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            和漢医薬学会
    
        2010
     | 
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 1880-1447 | 
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| Summary: | 当帰は, 月経不順などの婦人科疾患によく用いられる生薬である. 当帰等級の薬効の違いを解明することを目的に, cDNAマイクロアレイを使った網羅的遺伝子発現解析により, 2種類の等級の服用間で発現に差がある遺伝子を探索した. 奈良県産最高級大和当帰と中国産最低級大和当帰を, それぞれ配合した当帰芍薬散を, 2グループの女性に4週間投与し, その前後で末梢血採取を行った. 高級大和当帰は24名, 低級大和当帰は18名に与えた. 部分最小二乗-識別分析(PLS-DA)とStudentのt-検定を共に用いて, 末梢血解析により得られた遺伝子発現データを検定することにより, (1)2種類の当帰芍薬散投与で共に発現変動した遺伝子と, (2)発現変動に差がある遺伝子を, 抽出した. 抽出遺伝子に対して, 比率差の検定による遺伝子数濃縮率の検証を伴った機能分類を行った結果, (1)は, タンパク質輸送, 転写に分類される遺伝子を含み, (2)は, 翻訳, 代謝過程, 転写, イオン輸送に分類される遺伝子を含むことが示された. (1)の転写の分類は, エストロゲン関連の遺伝子を含み, (2)の代謝過程とイオン輸送の分類は, 神経関連の遺伝子を含んでいた. それらは, 2種類の当帰芍薬散投与による愁訴改善と関係があると考察された. 本研究により, 当帰等級の薬理学的な効果の違いを, 遺伝子の発現変動において示すことができた. | 
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| ISSN: | 1880-1447 |