質的研究のプロセスがもたらすもの

シンポジウムでは, 小児がんで子どもを亡くした母親の悲嘆過程に関する研究と, その結果を基にしたサポートグループ (以下SG) の実践という例を使って話をした. ここでは, 前半でその省略版を紹介し, 後半では討論に出てきた重要な課題を振り返りたい. 「1. 悲嘆からの踏みだしを促進するもの」研究の結果から, 自分のおこなった看病の良かった点を認める, 子どもと過ごした良い時間を思い出す, あの子はひとりでも大丈夫 (あっちの世界でも幸せにしている, 私がいなくても大丈夫なんだ) だと思えるというようなことが, 母親の悲嘆からの踏みだしを促進することがわかった. そして, そう感じられるように...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 23; no. 2; pp. 59 - 61
Main Author 戈木クレイグヒル滋子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 01.06.2003
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ISSN0287-5330

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Summary:シンポジウムでは, 小児がんで子どもを亡くした母親の悲嘆過程に関する研究と, その結果を基にしたサポートグループ (以下SG) の実践という例を使って話をした. ここでは, 前半でその省略版を紹介し, 後半では討論に出てきた重要な課題を振り返りたい. 「1. 悲嘆からの踏みだしを促進するもの」研究の結果から, 自分のおこなった看病の良かった点を認める, 子どもと過ごした良い時間を思い出す, あの子はひとりでも大丈夫 (あっちの世界でも幸せにしている, 私がいなくても大丈夫なんだ) だと思えるというようなことが, 母親の悲嘆からの踏みだしを促進することがわかった. そして, そう感じられるようになってくると, だんだん自分の中に無理のない形で, 子どもを位置づけ, 子どもの生と死について納得のいくストーリーを作り上げることができるようになっていくという過程があった. 「2. SGを始めた動機」小児がんで子どもを亡くして1年以内の母親のためのSGは6年間おこなったが, 始めた動機は3つあった.
ISSN:0287-5330