信頼できる研究とは-量的研究の立場から

「はじめに」看護は社会にとって必須の機能であり, 看護の機能を社会に示して評価を得るには, 看護の対象の実態を把握し, 働きかけ(インタベンション)による変化・成果を客観的に示す必要がある. それには量的に示すことが有効であり, このことは, F.ナイチンゲールが近代看護の先駆者としてと同時に, 統計学者としても高く評価されていることに示されている. 近年では, 看護判断とそれに基づく働きかけに際し, その根拠(エビデンス)が必要という考え方がおこってきた. これは医学領域におけるEBMの影響を受けたものであり, EBMの発展は治療選択を支えるものとしてのアウトカム(成果)研究の推進に裏付けら...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 25; no. 2; pp. 114 - 116
Main Author 数間恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 01.06.2005
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ISSN0287-5330

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Summary:「はじめに」看護は社会にとって必須の機能であり, 看護の機能を社会に示して評価を得るには, 看護の対象の実態を把握し, 働きかけ(インタベンション)による変化・成果を客観的に示す必要がある. それには量的に示すことが有効であり, このことは, F.ナイチンゲールが近代看護の先駆者としてと同時に, 統計学者としても高く評価されていることに示されている. 近年では, 看護判断とそれに基づく働きかけに際し, その根拠(エビデンス)が必要という考え方がおこってきた. これは医学領域におけるEBMの影響を受けたものであり, EBMの発展は治療選択を支えるものとしてのアウトカム(成果)研究の推進に裏付けられている. すなわち, 治療・処置の有無・相違によりアウトカムがどうなるかという研究である. 看護においてもこのアウトカム研究の考え方が有用であるが, エビデンス産生手法(器)として活用するに際しては, 次の点を十分に検討する必要がある. (1)看護として意味あるアウトカムとその指標は何か, (2)働きかけによるアウトカムの内容と優先性はEBMと同じか, である. そのうえで, エビデンスとして信頼できる研究に取り組む必要がある.
ISSN:0287-5330