リハビリテーション医療現場における半側空間無視

半側空間無視(以下USN)は脳卒中などの脳損傷後に生じる高次脳機能障害の1つであり, ADLの大きな阻害因子となるため, リハビリテーション(以下, リハ)医療現場でしばしば問題となる. 今回, 特に急性期リハの現場として当院におけるUSNへの取組みについて報告する. Heilmanによれば, USNは脳の損傷部位と反対側に呈示された刺激を報告したり, 反応したりしない, あるいは刺激の方に向いたりしない症状であり, その症状が感覚障害や運動障害に基づくものではない 1). USN患者は移乗時の転倒や障害物への衝突など, 病棟や訓練中の事故を起こしやすく, また, 復職を考える上でも, 書類の...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. 2; pp. 96 - 99
Main Author 新舎規由
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2001
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ISSN0034-351X

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Summary:半側空間無視(以下USN)は脳卒中などの脳損傷後に生じる高次脳機能障害の1つであり, ADLの大きな阻害因子となるため, リハビリテーション(以下, リハ)医療現場でしばしば問題となる. 今回, 特に急性期リハの現場として当院におけるUSNへの取組みについて報告する. Heilmanによれば, USNは脳の損傷部位と反対側に呈示された刺激を報告したり, 反応したりしない, あるいは刺激の方に向いたりしない症状であり, その症状が感覚障害や運動障害に基づくものではない 1). USN患者は移乗時の転倒や障害物への衝突など, 病棟や訓練中の事故を起こしやすく, また, 復職を考える上でも, 書類の見落とし, 職場内での事故, 自動車運転中の事故などを起こす可能性もあり, 社会復帰を大きく阻害する.
ISSN:0034-351X