プロテオームデータベースの構築と活用
生物個体の生命活動は, 全身を構成する細胞によって維持されている. さらにその細胞の生命と機能は, ゲノムDNAの塩基配列情報に基づいて造られるタンパク質の機能によって支えられている. したがって細胞の分化, 老化, 癌化, 疾患などのメカニズムには, タンパク質の量的変動あるいは質的変化が深く関わっていると考えられ, その責任タンパク質を見つけだそうという試みが, 多くの生化学者によって行われてきた. 従来の伝統的なタンパク質研究は個別的(一本釣り的)な手法であったのに対し, 1995年にマッカリー大学のWilliams教授のグループによって始められた「プロテオーム研究」は網羅的(トロール漁...
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Published in | 生物物理化学 Vol. 44; no. 3; pp. 181 - 184 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本電気泳動学会
2000
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ISSN | 0031-9082 |
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Summary: | 生物個体の生命活動は, 全身を構成する細胞によって維持されている. さらにその細胞の生命と機能は, ゲノムDNAの塩基配列情報に基づいて造られるタンパク質の機能によって支えられている. したがって細胞の分化, 老化, 癌化, 疾患などのメカニズムには, タンパク質の量的変動あるいは質的変化が深く関わっていると考えられ, その責任タンパク質を見つけだそうという試みが, 多くの生化学者によって行われてきた. 従来の伝統的なタンパク質研究は個別的(一本釣り的)な手法であったのに対し, 1995年にマッカリー大学のWilliams教授のグループによって始められた「プロテオーム研究」は網羅的(トロール漁法的)な手法である. そもそも, 彼らが考え出した「プロテオーム」という言葉は, 「特定の組織細胞の中に存在し機能している全てのタンパク質」を意味する集合名詞であり, 翻訳直後の一次産物のみならず, 翻訳後修飾を受けた二次産物や, 部分消化を受けた分解中間体, 他の分子との複合体など全てのものを含んでいる. |
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ISSN: | 0031-9082 |