新しい尿蛋白分析技術

セルロースアセテート膜(セア膜)の電気泳動による尿蛋白分画はあまり行われていないのが実状である. 第1の理由は濃縮しなければならないこと. 第2には濃縮した尿では鮮明なパターンが得られにくいことである. これまでの染色法では濃縮という操作が必要なため, 蛋白濃度がかなり低濃度である, 健常ヒトの尿蛋白分画の把握ができない. したがって, 疾患で得られたパターンが正常か, 異常かが, 特殊な例を除いて判断できないことになってしまう. そこで我々はこの点を解決すべく, セア膜に適用できる銀染色を考案し報告した1,2). しかしながら銀染色液の調製法が煩雑である上に, 誰もが均一な染色液を調製できな...

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Published in生物物理化学 Vol. 45; no. 1; pp. 51 - 53
Main Author 芝紀代子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 2001
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ISSN0031-9082

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Summary:セルロースアセテート膜(セア膜)の電気泳動による尿蛋白分画はあまり行われていないのが実状である. 第1の理由は濃縮しなければならないこと. 第2には濃縮した尿では鮮明なパターンが得られにくいことである. これまでの染色法では濃縮という操作が必要なため, 蛋白濃度がかなり低濃度である, 健常ヒトの尿蛋白分画の把握ができない. したがって, 疾患で得られたパターンが正常か, 異常かが, 特殊な例を除いて判断できないことになってしまう. そこで我々はこの点を解決すべく, セア膜に適用できる銀染色を考案し報告した1,2). しかしながら銀染色液の調製法が煩雑である上に, 誰もが均一な染色液を調製できないことが欠点であった. そこで染色液の見直しを行い, 試薬混和法や試薬組成濃度を変えることにより, 簡便で均一な調製法とすることができた. この方法を用いると, 健常人尿でも濃縮しないで蛋白分画ができるため, 基準となるべき健常人尿の蛋白分画が明確になった. そのために蛋白濃度が低い種々疾患患者尿での蛋白分画の特徴をとらえることが可能になった. 本稿では銀染色法, 健常ヒトの尿蛋白分画, そして糖尿病患者をはじめ種々疾患尿の尿蛋白分画の特徴について記述する.
ISSN:0031-9082