LOH症候群におけるそもそもとまっとうを考える

「抄録」: 加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)は, 加齢による男性ホルモンの欠乏により諸症状を引き起こす症候群である. 本邦では, 2007年に「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き」が発行され, LOH症候群の診療に広く活用されている. 今回, 診療の手引きが改訂され, LOH症候群の診断基準や治療適応などが変更となる. LOH症候群の診断基準は, 「総テストステロン値<250ng/dL」または「症候からLOH症候群が強く疑われるが, 総テストステロン値が正常範囲内の場合は遊離テストステロン値<7.5pg/mL」へと改定される. テストステロン補充療法の...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 84; no. 4; pp. 364 - 370
Main Authors 大平伸, 常泰輔, 覺前蕉, 中塚騰太, 森中啓文, 高崎宏靖, 平田啓太, 杉山星哲, 清水真次朗, 海部三香子, 藤井智浩, 宮地禎幸, 永井敦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.04.2022
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ISSN0029-0726

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Summary:「抄録」: 加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)は, 加齢による男性ホルモンの欠乏により諸症状を引き起こす症候群である. 本邦では, 2007年に「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き」が発行され, LOH症候群の診療に広く活用されている. 今回, 診療の手引きが改訂され, LOH症候群の診断基準や治療適応などが変更となる. LOH症候群の診断基準は, 「総テストステロン値<250ng/dL」または「症候からLOH症候群が強く疑われるが, 総テストステロン値が正常範囲内の場合は遊離テストステロン値<7.5pg/mL」へと改定される. テストステロン補充療法の治療適応は, 診断基準に含まれているテストステロン値は治療適応を判断する上での必須項目とはせず, 臨床症状を中心とした適応判断へと改定される. 本稿では改訂版診療の手引きに沿って自施設での治療成績を検討した. 我々の検討結果から, LOH症候群における臨床症状の定期的な評価は, テストステロン補充療法の長期におよぶ臨床的効果を判断する上で有用であり, 治療継続性を判断する材料としても有用であることが示された. LOH症候群はQOLの低下をきたす症状症候群であり, 今回の改定により, より臨床症状に焦点を当てた医療が提供されることは, 更なるQOLの改善に繋がる可能性がある.
ISSN:0029-0726