成体からは分からぬ発生時のすがた-かたちや構造の深い理解のために-(4)アトラス;ヒトの早期胚子, 特に卵黄嚢と羊膜を示す
「概要」ヒトでも発生早期には胚体の腹側には卵黄嚢をもっており, 背方には羊膜嚢が形成されている. この時期の胚のすがたは, 成体からは全く想像できないもので, これら卵黄嚢や羊膜の変化を実際目でみておくことは, その後の胚発生を理解する上で, その意義は極めて大きい. ここでは, 発生(受精齢)3, 4, 5, 6, および8週の, それぞれヒト胚子(胎芽)標本について図説している. 卵黄嚢においては, 壁の外層(臓側中胚葉)で最初の造血が行われており, 内層(内胚葉性上皮)の一部(嚢の後上方部)に, 生殖細胞の元になる始原生殖細胞が宿っていることに注目したい. 「解説」近年ヒトの発生について...
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Published in | KAWASAKI IGAKKAI SHI LIBERAL ARTS & SCIENCE COURSE no. 25; pp. 29 - 38 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
川崎医学会
1999
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ISSN | 0386-5398 |
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Summary: | 「概要」ヒトでも発生早期には胚体の腹側には卵黄嚢をもっており, 背方には羊膜嚢が形成されている. この時期の胚のすがたは, 成体からは全く想像できないもので, これら卵黄嚢や羊膜の変化を実際目でみておくことは, その後の胚発生を理解する上で, その意義は極めて大きい. ここでは, 発生(受精齢)3, 4, 5, 6, および8週の, それぞれヒト胚子(胎芽)標本について図説している. 卵黄嚢においては, 壁の外層(臓側中胚葉)で最初の造血が行われており, 内層(内胚葉性上皮)の一部(嚢の後上方部)に, 生殖細胞の元になる始原生殖細胞が宿っていることに注目したい. 「解説」近年ヒトの発生については, 多くの情報が提供されているが, 既に発生段階表もつくられ1), かたちや構造がどのように変化していくかについても, 胎児写真や超音波による画像で一般に知られるようになってきている2). しかしながら, 発生早期の, すなわち胚子期(embryonic period, 8週, 2ヶ月まで)のものについては, 実際には目に触れる機会が少ないのではないかと思われる. |
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ISSN: | 0386-5398 |