27. 肝生検にて肝類洞内に腫瘍浸潤を認めた肺癌の1例

【症例】64歳, 女性【主訴】咳嗽【現病歴】平成20年4月上旬頃より咳嗽が出現. 5月に近医受診し, 胸部Xp, CTにて右中葉に結節影を認め, 精査加療目的にて当院呼吸器科を紹介受診, 入院となった. TBLBにて右下葉肺癌(腺癌, T4N3M1 stageIV)の診断にて, 化学療法(CBDCA+TXL)4クール施行し, Partial Responseであり, 8月に退院となった. 外来にて経過をみていたが, 10月頃より肝機能異常, 血小板減少を認め, 再入院となった. 【経過】入院時検査所見は, AST 153IU/ml, ALT93IU/ml, LDH1285IU/ml, ALP3...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 59; no. 2; p. 205
Main Authors 矢内有紀, 壁谷建志, 田中寛人, 東郷望, 小林光伸, 蒔田富士雄, 富澤由雄, 松浦正名
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.05.2009
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ISSN1343-2826

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Summary:【症例】64歳, 女性【主訴】咳嗽【現病歴】平成20年4月上旬頃より咳嗽が出現. 5月に近医受診し, 胸部Xp, CTにて右中葉に結節影を認め, 精査加療目的にて当院呼吸器科を紹介受診, 入院となった. TBLBにて右下葉肺癌(腺癌, T4N3M1 stageIV)の診断にて, 化学療法(CBDCA+TXL)4クール施行し, Partial Responseであり, 8月に退院となった. 外来にて経過をみていたが, 10月頃より肝機能異常, 血小板減少を認め, 再入院となった. 【経過】入院時検査所見は, AST 153IU/ml, ALT93IU/ml, LDH1285IU/ml, ALP386IU/ml, IgG2865mg/dl, IgA734mg/dl, IgM173mg/dl, PLT12.7万/ul. 抗核抗体 80倍, 抗ミトコンドリアM2抗体陽性, PAIgG 249ng/107cells. 腹部エコー, CTでは肝に明らかな占拠性病変は認めなかった. 自己免疫機序による肝機能障害, 血小板減少の合併も考慮し, 肝生検, 骨髄穿刺を施行. 肝生検にて, 肝小葉内の類洞内, および門脈域の門脈内に増殖する腺癌細胞の浸潤を認め, PBCやPSCを示唆する胆管上皮の障害, 胆管周囲の炎症細胞浸潤は認めず, 肝実質自体にも変化は認めなかった. 骨髄穿刺では, 骨髄に浸潤する腺癌細胞を認めた. 肝機能障害, 血小板減少は肺腺癌の肝転移, 骨髄浸潤と診断, 肺組織検査よりEGFR(epidermal growth factor recepter)変異陽性であり, Gefitinibを開始した. Gefitinib開始後, 肝機能障害, 血小板減少は改善した. 画像診断では肝に腫瘤形成がなかったものの, 肝生検によって類洞内, 門脈内に腫瘍細胞の浸潤を認め, 肝転移と診断された1例を経験したので報告する.
ISSN:1343-2826