慢性閉塞性肺疾患に対する吸入療法併用の呼吸リハビリテーション効果について

【背景】慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease; COPD)は, 肺胞の破壊よる気道閉塞に伴い, 労作時息切れ感を主症状とする呼吸器疾患である. この疾患の特徴は, 慢性進行性の疾患であり, 息切れを回避のため徐々に活動性低下が生じ, 食欲低下, 筋力低下, 精神活動低下など助長し, 非活動性の悪循環を招き, 最終的には日常生活活動(activities of daily living; ADL)に影響を与える. COPDに対する治療としては, 長期作用型抗コリン薬や気管支拡張薬などの薬物療法が有効とされている. また, 非薬物療法である呼...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 61; no. 3; p. 451
Main Authors 長谷川信, 白倉賢二, 土橋邦生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.08.2011
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ISSN1343-2826

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Summary:【背景】慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease; COPD)は, 肺胞の破壊よる気道閉塞に伴い, 労作時息切れ感を主症状とする呼吸器疾患である. この疾患の特徴は, 慢性進行性の疾患であり, 息切れを回避のため徐々に活動性低下が生じ, 食欲低下, 筋力低下, 精神活動低下など助長し, 非活動性の悪循環を招き, 最終的には日常生活活動(activities of daily living; ADL)に影響を与える. COPDに対する治療としては, 長期作用型抗コリン薬や気管支拡張薬などの薬物療法が有効とされている. また, 非薬物療法である呼吸リハビリテーション(以下呼吸リハ)についても有用であると報告され, 双方ともにCOPDに対するガイドラインとして推奨されている. 薬物療法は重症度に応じて気管支拡張作用のある薬剤を定期的に吸入し, 労作時や息切れ感増強時に短時間作用型の適宜吸入によりが症状を軽減させる. 一方, 呼吸リハでは下肢筋, 歩行トレーニングなどの運動療法が有用であり積極的に実施されている. しかし, 運動療法の際には, 運動による換気が亢進され, air-trappingにて肺過膨張が生じる. この肺過膨張は息切れ感を増強させ, 最終的には運動制限が引き起こされる. 我々は, COPDの息切れ感を軽減した上での運動療法が有用であると考え, 運動療法前に気管支拡張作用のある短時間作用性吸入β2刺激薬(short acting β2 agonist; SABA)を併用し, 呼吸リハ効果について検討した. 結果, 薬剤併用した群では呼吸リハは, 薬剤を使用しない群より, 運動耐容能や健康関連QOL (quality of life)がより改善傾向を示した. 薬剤併用(SABAを吸入)にて, air-trappingを予防し, 肺過膨脹の軽減することで呼吸リハビリテーションの効果をより高める可能性が示唆された. 今回は, 薬剤吸入を併用した呼吸リハの新たな可能性について報告する.
ISSN:1343-2826