家畜における脂肪組織発達機構解明のための体外培養系の利用
「1. はじめに」白色脂肪組織の大部分を占有する成熟脂肪細胞は, 生体が摂取した余剰エネルギーを中性脂肪に変換して貯蔵するだけでなく, 生体維持に必要なエネルギー収支の調節機能においても主要な役割を果たすことが明らかにされている. 脂肪組織の発達は, 栄養物質の蓄積による脂肪細胞の肥大化(Hypertrophy)と前駆脂肪細胞の分化による脂肪細胞数の増加(Hyperplasia)によって起こる(Butterwith, 1997). したがって, HypertrophyおよびHyperplasiaを制御することが出来れば, 体脂肪蓄積のより効率的な制御が可能になると考えられる. これまで家畜の体...
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| Published in | 動物遺伝育種研究 Vol. 30; no. 2; pp. 37 - 42 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本動物遺伝育種学会
2003
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1345-9961 |
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| Summary: | 「1. はじめに」白色脂肪組織の大部分を占有する成熟脂肪細胞は, 生体が摂取した余剰エネルギーを中性脂肪に変換して貯蔵するだけでなく, 生体維持に必要なエネルギー収支の調節機能においても主要な役割を果たすことが明らかにされている. 脂肪組織の発達は, 栄養物質の蓄積による脂肪細胞の肥大化(Hypertrophy)と前駆脂肪細胞の分化による脂肪細胞数の増加(Hyperplasia)によって起こる(Butterwith, 1997). したがって, HypertrophyおよびHyperplasiaを制御することが出来れば, 体脂肪蓄積のより効率的な制御が可能になると考えられる. これまで家畜の体脂肪蓄積の制御および脂肪交雑肉の作出は, 主に飼料エネルギーあるいは栄養素の調節によって行なわれてきた. 経済効果優先の育種目標として増体量の向上が優先的に追及されたことから, 飼料摂取量の多い個体が必然的に選抜されてきた. それゆえに, 飼料摂取量が多い個体では必然的にエネルギー過剰に陥りやすく, 脂肪として蓄積される傾向を有する個体が多い. 近年, ヒトの肥満症の増加から低脂肪の畜肉が嗜好され, 生産される大部分の脂肪は食されることなく廃棄されている. また, 家畜あるいは家禽においても体脂肪の過剰蓄積に起因する代謝障害による疾病が多くなっていることも知られている. |
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| ISSN: | 1345-9961 |