4.脳性発達障害児の地域療育体制

脳性発達障害児の離島, 辺地における地域療育体制づくりについて, 長崎県立整肢療育園が行ってきたことを紹介し, 次いで現状, 今後の課題に関して述べたい. 長崎県における特殊性と当園の活動史 長崎県を地勢からみると, 平地に乏しく, 島の数は580~900島にも及び全国で第1位, 島の総面積は長崎県全体の44.8%を占めている. 海岸線は複雑に入り組んで, その延長は約4,165kmと北海道についで第2位である. このように医療面だけでなく, 行政, 経済などに関して長崎県を語るときも, 島をぬきにしては語れない状況にある. 従来, 離島や辺地を6地域(上五島, 下五島, 対馬, 壱岐, 西彼...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 24; no. 1; pp. 50 - 52
Main Authors 川口幸義, 山口和正, 穐山富太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.01.1987
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ISSN0034-351X

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Summary:脳性発達障害児の離島, 辺地における地域療育体制づくりについて, 長崎県立整肢療育園が行ってきたことを紹介し, 次いで現状, 今後の課題に関して述べたい. 長崎県における特殊性と当園の活動史 長崎県を地勢からみると, 平地に乏しく, 島の数は580~900島にも及び全国で第1位, 島の総面積は長崎県全体の44.8%を占めている. 海岸線は複雑に入り組んで, その延長は約4,165kmと北海道についで第2位である. このように医療面だけでなく, 行政, 経済などに関して長崎県を語るときも, 島をぬきにしては語れない状況にある. 従来, 離島や辺地を6地域(上五島, 下五島, 対馬, 壱岐, 西彼杵半島, 平戸. 北松浦郡)に分けて, 整肢療育園と島原温泉病院内にあった島原分園とで, 1年に2地域ずつ巡回療育相談事業を行っていた. しかしこの程度の巡回では, 治療対象児のピックアップはできても, その児童が居住する地域での療育効果をあげることはできていなかった. すなわち10年前までは, 脳性発達障害児の療育は施設や養護学校で行うのが一般的であった(施設内療育または施設収容による療育). その後, 脳性発達障害児の早期治療開始が普及するにつれて, 殊に乳児を治療対象とするようにたってからは, 治療も育児の中で行うのが常識となってきた.
ISSN:0034-351X