21.重度身体障害者の生活環境と自立

【目的】重度身体障害者の多くは施設生活を余儀なくさせられているが, 在宅にあっても現実の生活環境は厳しい. 自主的な生活の場を得たいと願う障害者仲間にあっては脱施設化活動が盛んであり, 施設にあっても閉鎖的な大型収容施設を街中の小規模施設へ転換せんとする時勢にある. 重度身体障害者の生活環境と自立状況を調査報告する. 【対象並びに方法】調査対象者は15~38歳平均年齢26歳の重度身体障害者37名で, 調査方法はすべて面接調査を実施し, 生活環境の状況は直接確かめた. 【結果】重度身体障害者の多くは施設内自立にあまんじているが, 対象となった施設生活者13名中11名(85%)は施設の規制が強く自...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 24; no. 4; pp. 227 - 228
Main Authors 穐山富太郎, 川口幸義, 山口和正, 坂本善二, 浜村明徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.07.1987
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】重度身体障害者の多くは施設生活を余儀なくさせられているが, 在宅にあっても現実の生活環境は厳しい. 自主的な生活の場を得たいと願う障害者仲間にあっては脱施設化活動が盛んであり, 施設にあっても閉鎖的な大型収容施設を街中の小規模施設へ転換せんとする時勢にある. 重度身体障害者の生活環境と自立状況を調査報告する. 【対象並びに方法】調査対象者は15~38歳平均年齢26歳の重度身体障害者37名で, 調査方法はすべて面接調査を実施し, 生活環境の状況は直接確かめた. 【結果】重度身体障害者の多くは施設内自立にあまんじているが, 対象となった施設生活者13名中11名(85%)は施設の規制が強く自主的行動の拘束を受け, プライバシーが保てないなどの不本意な生活状況にあった. 一部の施設では施設内結婚も許されていて自立心をかきたてられ, 2名は施設内生活に満足していた. 更生指導所短期入所者13名中10名は労働意欲を持ち, 社会的自立を目指しているが, 社会の受け入れが厳しく, 不安が大きい. 在宅者11名中3組5名は結婚し, 生計を立てている. 他の4名は施設生活者の3名, 更生指導所入所者の1名とともに, 地域住民の応援を得て自主的な共同生活の場づくりを行い, 現在住居つきの共同作業所を自ら運営し, 自立生活を実践している. 他の1名は四肢麻痺ながら自らボランティア活動に専念していた. 質問 社会福祉法人訪問の家佐鹿博信:施設入所者が, 自立生活運動を通して地域社会の中で生活をしていく場合, 社会性の欠如(例えば, 約束の時間に合わせて生活の時間配分をしたり, 仕事の段取りを検討する)があり, こうしたレディネスの不足が, 自立生活を阻害することが多い. 長崎でこうしたレディネスを評価したり, トレーニングするシステムなどを検討しているかどうか, ご教示ください. 答 穐山富太郎:(1)江口先生へ;出会い, 契機に加えちょっとした社会的援助で自立の道が拓けてゆくことを実感してます. (2)横浜市大の先生へ;住居つき共同作業所の自主運営には, レディネスを待つより, むしろ計画, 実践途上で培われていくものが多いようです.
ISSN:0034-351X