28. 腹壁瘢痕ヘルニア内の大網転移をきたした肝細胞癌の1例

【症例】73歳男性. 以前より下腹部の腹壁瘢痕ヘルニアとC型慢性肝炎を指摘されていた, 2006年stageIIIの肝細胞癌に対して肝動脈塞栓術を施行後, 肝S6亜区域切除術, 肝S3術中ラジオ波焼灼術を施行した. 2008年になり腫瘍マーカーの上昇と腹壁疲痕ヘルニア内の腫瘤を認め, 肝細胞癌の転移が疑われ手術目的に入院となった. ヘルニア根治術を施行したところ, ヘルニア内容の大網に2cm程の白色腫瘤を認め, 病理所見から肝細胞癌の転移と診断した. 腫瘍マーカーもヘルニア内腫瘤の切除後は正常化した. また, ヘルニア部のCT画像をretrospectiveに検討すると, 2006年初診時のC...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 59; no. 2; p. 205
Main Authors 上野敬史, 飯塚圭介, 麻興華, 嶋田靖, 伊島正志, 飯塚賢一, 豊田満夫, 押本浩一, 片貝堅志, 荒井泰道, 鈴木一也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.05.2009
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ISSN1343-2826

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Summary:【症例】73歳男性. 以前より下腹部の腹壁瘢痕ヘルニアとC型慢性肝炎を指摘されていた, 2006年stageIIIの肝細胞癌に対して肝動脈塞栓術を施行後, 肝S6亜区域切除術, 肝S3術中ラジオ波焼灼術を施行した. 2008年になり腫瘍マーカーの上昇と腹壁疲痕ヘルニア内の腫瘤を認め, 肝細胞癌の転移が疑われ手術目的に入院となった. ヘルニア根治術を施行したところ, ヘルニア内容の大網に2cm程の白色腫瘤を認め, 病理所見から肝細胞癌の転移と診断した. 腫瘍マーカーもヘルニア内腫瘤の切除後は正常化した. また, ヘルニア部のCT画像をretrospectiveに検討すると, 2006年初診時のCTにて, 既にヘルニア内に結節影を認めており, 治療や処置後に伴う播種は否定的と思われた. 【結語】肝細胞癌の腹膜転移は, 比較的稀であり多くは直接浸潤, 肝細胞癌破裂, 処置後のものである. 本症例のような遠隔部の大網転移は稀であり, 文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1343-2826