経過からみた潰瘍性大腸炎の特徴

当教室で経験した潰瘍性大腸炎53例の特徴を発症からの経過年数と結びつけて検討した結果, (1) 重症化例は9例延べ12例で, いずれも発症5年以内にみられた. (2) 難治化例は10例で, このうち9例は発症5年以内にみられた. (3) 手術例は7例で, 癌合併, 癌化の2例を除いた5例は5年以内に手術された. (3) 経過観察期間に対する入院月数は, 発症5年以降の症例では, 5年以内の症例に比較して, 著しく短かった. (5) 入院率は, 発症1年目77.4% (41/53) で最も多く, その後漸減し, 5年目は9.7%であった.それ以降は0~20%, であった. (6) 5年以上経過例...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 42; no. 7; pp. 1193 - 1197
Main Authors 飯塚, 政弘, 正宗, 研, 堀江, 泰夫, 千葉, 満郎, 五十嵐, 潔
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 01.11.1989
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.42.1193

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Summary:当教室で経験した潰瘍性大腸炎53例の特徴を発症からの経過年数と結びつけて検討した結果, (1) 重症化例は9例延べ12例で, いずれも発症5年以内にみられた. (2) 難治化例は10例で, このうち9例は発症5年以内にみられた. (3) 手術例は7例で, 癌合併, 癌化の2例を除いた5例は5年以内に手術された. (3) 経過観察期間に対する入院月数は, 発症5年以降の症例では, 5年以内の症例に比較して, 著しく短かった. (5) 入院率は, 発症1年目77.4% (41/53) で最も多く, その後漸減し, 5年目は9.7%であった.それ以降は0~20%, であった. (6) 5年以上経過例では, 5年目の時点と比較して治療薬が減少する例が多かった.このことから潰瘍性大腸炎では, 発症5年以内の症例では, 重症化, 難治化, 手術適応に留意すること, 5年以降の症例では, cancer surveillance に留意することが重要と思われた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.42.1193