S状結腸癌手術と術後機能障害

男性S状結腸癌43例の術後生理的機能障害を調査検討した.性機能障害と郭清操作に関しては,下腸間膜動脈根部から大動脈および仙骨前面の郭清に起因する下腹神降損傷によると考えられる射精障害が主であり,R3群でほ術後1年目で,性機能調査項目中,射精のみの消失を訴えたもの14例(45.1%)であった.勃起能については郭清度別でも特異的な障害を認めなかった. 排尿障害は概して軽いが,Rs群では尿失禁(尿もれ)が術後1年目に5例(16.1%),2年目でも4例(16%)にみられた. 排便機能障害に関しては,軽度の下痢・便秘が主であるが,Ra群では排便回数の増加と共に,便失禁例が術後2年目でも2例(8%)にみと...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 38; no. 2; pp. 117 - 122
Main Authors 金井, 道夫, 小鍛治, 明照, 高橋, 孝, 加藤, 岳人, 大山, 洋一, 翁, 秀岳, 吉田, 正一, 三浦, 由雄, 高橋, 利道, 太田, 博俊
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 01.03.1985
Subjects
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.38.117

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Summary:男性S状結腸癌43例の術後生理的機能障害を調査検討した.性機能障害と郭清操作に関しては,下腸間膜動脈根部から大動脈および仙骨前面の郭清に起因する下腹神降損傷によると考えられる射精障害が主であり,R3群でほ術後1年目で,性機能調査項目中,射精のみの消失を訴えたもの14例(45.1%)であった.勃起能については郭清度別でも特異的な障害を認めなかった. 排尿障害は概して軽いが,Rs群では尿失禁(尿もれ)が術後1年目に5例(16.1%),2年目でも4例(16%)にみられた. 排便機能障害に関しては,軽度の下痢・便秘が主であるが,Ra群では排便回数の増加と共に,便失禁例が術後2年目でも2例(8%)にみとめられ,下腹神経損傷による肛門内括約筋機能障害の関与が疑われた.以上より,S状結腸癌手術における術後の生理的機能温存のためには・癌根治性を失わない範囲で下腹神経の損傷を避けるべきである.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.38.117