回腸嚢肛門吻合術後の複雑瘻孔に対して経仙骨的手術を施行した1例

回腸嚢肛門吻合術後の瘻孔は難治であり,種々の手術的治療が行われているが回腸嚢を切除せざるを得ない症例が多い.著者らは回腸嚢肛門吻合術後の再発性複雑瘻孔に対して,経仙骨的アプローチを付加した手術を施行したので報告する.症例は43歳の男性で,4年4か月前に潰瘍性大腸炎に対して大腸亜全摘術,直腸粘膜抜去,回腸嚢肛門吻合術,回腸瘻造設術を施行された,回腸瘻閉鎖後1年目に肛門周囲膿瘍で発症し,2回の瘻孔の手術を受けたが各々1か月後に再発し保存的に治療されていた.瘻孔は11時の回腸嚢肛門吻合部に内口,肛門周囲の4時方向に2次口があり,挙筋上の回腸嚢後方を約半周迂回する複雑な瘻管を有していた.2次口よりのc...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 51; no. 6; pp. 394 - 398
Main Authors 小森, 義之, 前田, 耕太郎, 内海, 俊明, 丸田, 守人
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 01.06.1998
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.51.394

Cover

More Information
Summary:回腸嚢肛門吻合術後の瘻孔は難治であり,種々の手術的治療が行われているが回腸嚢を切除せざるを得ない症例が多い.著者らは回腸嚢肛門吻合術後の再発性複雑瘻孔に対して,経仙骨的アプローチを付加した手術を施行したので報告する.症例は43歳の男性で,4年4か月前に潰瘍性大腸炎に対して大腸亜全摘術,直腸粘膜抜去,回腸嚢肛門吻合術,回腸瘻造設術を施行された,回腸瘻閉鎖後1年目に肛門周囲膿瘍で発症し,2回の瘻孔の手術を受けたが各々1か月後に再発し保存的に治療されていた.瘻孔は11時の回腸嚢肛門吻合部に内口,肛門周囲の4時方向に2次口があり,挙筋上の回腸嚢後方を約半周迂回する複雑な瘻管を有していた.2次口よりのcoring outと経仙骨的アプローチによる瘻管切除,内口の切除・再縫合,回腸瘻造設を施行し,術後10か月現在再発はない.挙筋上の複雑瘻孔に対する経仙骨的手術は,瘻管を直視下に処置できる有用な術式と考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.51.394