埼玉県理学療法士会会員の職場環境・離職についてのアンケート調査

【目的】近年、養成校の増加により多くの理学療法士(以下、PT)が輩出され、埼玉県理学療法士会(以下、県士会)でも会員数が3~4年以内に4,000名前後に倍増する事が予想される。また、社会状況の変化に伴い、専門職であるPTに求められる仕事内容は刻々と変化し、職場環境も変化している。そこで、県士会の復職支援システム検討委員会は、PT会員の職場環境、労働の実態を把握し、職場環境の改善、キャリア継続に必要な条件は何かについて検討するためアンケート調査を実施した。なお、アンケートの項目は、全49項目あり問40~問49(10項目)についてはPT部門責任者のみに回答をしていただき、その調査結果について報告す...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 28; p. 113
Main Authors 井上 和久, 須永 康代, 石渡 睦子, 荒木 智子, 伯耆田 聡子, 柳田 千絵, 渡邊 雅恵, 吉岡 明美, 清宮 清美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2009
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.28.0.113.0

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Summary:【目的】近年、養成校の増加により多くの理学療法士(以下、PT)が輩出され、埼玉県理学療法士会(以下、県士会)でも会員数が3~4年以内に4,000名前後に倍増する事が予想される。また、社会状況の変化に伴い、専門職であるPTに求められる仕事内容は刻々と変化し、職場環境も変化している。そこで、県士会の復職支援システム検討委員会は、PT会員の職場環境、労働の実態を把握し、職場環境の改善、キャリア継続に必要な条件は何かについて検討するためアンケート調査を実施した。なお、アンケートの項目は、全49項目あり問40~問49(10項目)についてはPT部門責任者のみに回答をしていただき、その調査結果について報告する。【対象と方法】2008年10月における県士会に登録されているPT会員2,168名を対象に郵送調査法アンケートを実施した。対象者には、依頼文書にアンケートの目的を提示した上で、無記名調査、データの統計的処理、個人情報の保護等の説明を記載し、調査に同意していただける方のみアンケートを返送していただいた。PT部門責任者のみの質問項目として、1.地位、2.産前産後休暇制度の利用、3.産前産後休暇の代替職員、4.育児休業制度の利用、5.育児休暇の代替職員、6.介護休業制度の利用、7.介護休業の代替職員、8.育児休業・介護休業利用による昇任・昇格の影響、9.過去3年間の退職者数、10.自由回答の10項目であった。【結果】回答数は960名、回収率は44.3%であった。また、960名のうち228名(23%)がPT部門責任者の回答であった。2.産前産後休暇制度の利用は、「ほとんど利用する」45.6%。3.産前産後休暇の代替職員の有無は、「いいえ」60.1%。4.育児休業制度の利用は、「ほとんど利用する」32.9%、5. 育児休暇の代替職員の有無は、「いいえ」57.5%。10.自由回答については、「託児所の設置の要望」「診療報酬の影響への対応」「職場経営者のPTに対する理解の低さ」「産前産後・育児休暇中の研修制度への対応」等があった。【考察】今回、PT部門責任者のアンケート結果から、産前産後休暇制度は約半数の職場で利用されているが、それに比べ育児休業制度については約3割程度しか利用されていなかった。また、これらの休暇制度を利用したときの代替職員については、両者ともに約6割前後が「いいえ」で代替職員が採用できなく、職場の業務負担増が伺えた。その結果、自由回答で「診療報酬の影響」「託児所の設置」についての要望が多くなり、今後、県士会として職場環境改善について検討していくことが重要である。
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.28.0.113.0