超音波による乳癌検診の評価

超音波による乳癌検診の評価 ―マンモグラフィ併用の意義も含めてー 三原修一(みはらしゅういち)・木場博幸・田中信次・ 平尾真一・高本さや・小山慶子・本藤和子・丸林徹 日本赤十字社熊本健康管理センター 乳癌検診、超音波検査、マンモグラフィ 我々は、1992年4月から人間ドックおよび地域・職域集団検診において、超音波(US)による乳癌検診を行ってきた。また、2005年度からは人間ドックに、2006年度からは集団検診にマンモグラフィ(MMG) を導入した。今回、US検診の有用性について検討するとともに、MMG併用の意義について検討し、効果的な乳癌検診のあり方を提言したい。 【方法】我々は現在、施設内...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 57; p. 94
Main Authors 三原 修一, 木場 博幸, 田中 信次, 平尾 真一, 高本 さや, 小山 慶子, 本藤 和子, 丸林 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE 2008
一般社団法人 日本農村医学会
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.57.0.94.0

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Summary:超音波による乳癌検診の評価 ―マンモグラフィ併用の意義も含めてー 三原修一(みはらしゅういち)・木場博幸・田中信次・ 平尾真一・高本さや・小山慶子・本藤和子・丸林徹 日本赤十字社熊本健康管理センター 乳癌検診、超音波検査、マンモグラフィ 我々は、1992年4月から人間ドックおよび地域・職域集団検診において、超音波(US)による乳癌検診を行ってきた。また、2005年度からは人間ドックに、2006年度からは集団検診にマンモグラフィ(MMG) を導入した。今回、US検診の有用性について検討するとともに、MMG併用の意義について検討し、効果的な乳癌検診のあり方を提言したい。 【方法】我々は現在、施設内では装置8台、集団検診では専用の超音波検診車9台(装置10台)を用いて腹部超音波検診と同時に乳癌検診を行っている。スクリーニングは全て技師が行い(乳腺は全て女性技師)、全員が本学会の超音波検査士取得をノルマとしている(現在消化器31名、体表17名、泌尿器15名)。画像記録はすべて独自のファイリングシステムで行っており、前回の比較読影も可能なシステムを構築している。装置1台あたりの処理人数は、1時間当たり10名程度を基本としている。 【成績】1)2006年3月までのUS検診延べ受診者数は144,611名、有所見者数21,909例(有所見率15.2%)、要精検者数2,488例(要精検率1.7%)、精検受診者数2,363例(精検受診率95%)で、発見された乳癌は205例(発見率0.14%)であった。乳癌発見率は、30歳代0.04%、40歳代・50歳代・60歳代0.15%、70歳以上0.16%で、40歳代でも50歳以上と同じ発見率であった。2)発見された乳癌205例の平均年齢は58.1歳であった。57%(116/202)に乳房温存手術が施行され、76%(126/165)が20mm以下の症例であった。病期(n=185)は0期18例(10%)、1期96例(52%)、2a期58例(31%)、2b期9例(5%)、3期・4期4例(2%)であった。病理組織(n=206病変)では、166例(81%)が浸潤性乳管癌、18例(8%)が非浸潤癌、粘液癌4例、髄様癌5例、小葉癌8例等であった。また、53%79/148)が非触知乳癌であり、超音波は早期乳癌発見に極めて有用であることが示唆された。3)検診受診歴の分析では、初回受診者の乳癌発見率が0.20%(116/59,429)であったのに対し、非初回受診者では0.10%(89/85,182)であり、まずは検診受診を促すことが重要と思われた。また、初回受診例は57%で、逐年検診発見例が高頻度であること、逐年検診発見癌は初回検診発見癌と比較して腫瘍径が小さい、早期癌が多い、非浸潤癌が多い、非触知例が多いという特徴を持つことから、逐年検診の重要性が示唆された。4)2005-6年度に人間ドックにおいてUSとMMGを同時に行なった受診者数は12,840名で、乳癌発見率はUS0.16%(21例)、MMG0.25%(32例), 併用では0.29%(37例)であった。また、触診による発見率は0.08%(10例)であった。USで検出されMMGで検出されなかった癌は5例(腫瘤4例、低エコー域1例)、MMGで検出されUSで検出されなかった癌は16例18病変(石灰化14病変、腫瘤2病変、構築の乱れ2病変)であった。 【まとめ】超音波乳癌検診は、安全かつ簡便で、その精度や費用効果から見ても優れた検診方法であり、普及する意義は大きいと思われる。また、MMGでは、USで発見が困難な石灰化病変が拾い上げられることから、効果的かつ効率の良い乳癌検診を行うためには、USとMMGの適切な併用が不可欠と思われた。
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.57.0.94.0