TKA後の痛みと床からの立ち上がり動作の関係について

【はじめに】 TKA後の理学療法を進めていく上で、アウトカムとして動作機能を評価する必要があり、当院では術前、退院時、退院後1ヶ月(以下、退院後)と経時的にWOMACを改変したアンケートを用い評価を行っている。今回、その中で床からの立ち上がり動作(以下、床立ち上り)に注目し疼痛、ROMの関係を検討したので報告する。【対象及び方法】 対象は、当院でTKAを施行し、本件の主旨を十分説明し、同意を得た男女24名(男性2名、女性22名、両側13例、片側11例)、平均年齢76.5±4.4歳とした。 アンケートは、大項目として1)疼痛2)こわばり3)機能4)ADLに分かれている。今回は総合計点数及び疼痛と...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2010; p. 55
Main Authors 武内 未穂, 加藤 強, 河野 礼治, 加藤 孝則, 藤田 誠士, 榧野 志保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2010
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
Subjects
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ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2010.0.55.0

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Summary:【はじめに】 TKA後の理学療法を進めていく上で、アウトカムとして動作機能を評価する必要があり、当院では術前、退院時、退院後1ヶ月(以下、退院後)と経時的にWOMACを改変したアンケートを用い評価を行っている。今回、その中で床からの立ち上がり動作(以下、床立ち上り)に注目し疼痛、ROMの関係を検討したので報告する。【対象及び方法】 対象は、当院でTKAを施行し、本件の主旨を十分説明し、同意を得た男女24名(男性2名、女性22名、両側13例、片側11例)、平均年齢76.5±4.4歳とした。 アンケートは、大項目として1)疼痛2)こわばり3)機能4)ADLに分かれている。今回は総合計点数及び疼痛と床立ち上りを比較検討した。痛みは「全然ない」を0点、「非常に激しい痛み」を4点、機能(床立ち上り含む)は「全然問題ない」を0点、「かなり大変」を4点とし、それぞれ5段階評価した。検定は多重比較検定を用い、危険率5%とし、相関関係はスピアマンの順位相関係数の検定で、有意水準は5%未満とした。【結果】 総合計点数の平均は、術前44.7±10.6点、退院時18.8±12.3点、退院後15.2±7.2点であり、術前と退院時、術前と退院後でそれぞれ有意差を認めたが、退院時と退院後では有意差は認められなかった。疼痛は術前9.9±2.5点、退院時4.5±2点、退院後3.2±2.1点であった。機能は術前18.4±5.1点、退院時6.6±4.1点、退院後5.9±2.2点で、疼痛、機能共に術前と退院時、術前と退院後でそれぞれ有意差を認めたが、退院時と退院後では有意差は認められなかった。またROMは、術前124±14度と退院時130±8.5度で有意差を認めた。 各時期の疼痛と床立ち上りとの相関を見ると、術前では「安静時」、「荷重時痛」、退院時では「歩行時痛」、退院後では「安静時痛」と「荷重時痛」に相関が認められた。それ以外では相関は認められなかった。 ROMと床立ち上りでは、各時期において相関を認めた。【考察】】 総合計点数から、術前より退院時(術後約1ヶ月)、動作機能、ROM共に有意に改善されており、理学療法の効果検証ともいえる。又、有意差は無いものの退院後でもさらに改善している事は退院時指導を含め活発な活動を行っている結果ではないか。疼痛の点数減少に伴い、床立ち上りの点数も減少している事から、術前より改善したが、相関が少ない事より、疼痛だけでなくROMが大きく影響していると考える。和式生活では、床立ち上り動作の必要性は高く、術前は疼痛やROM制限がある中で膝関節にかかる負担を少なくし、エネルギー消費の大きい動作を行っていたと考える。しかし退院時では、疼痛の改善と共にROMが改善され、円滑に動作が遂行できていると考える。
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2010.0.55.0