当院における超音波内視鏡症例の検討

近年,超音波内視鏡は急速に進化・発展を遂げてきてい る。超音波内視鏡を用いることにより,消化管の粘膜の向 こう側の状態を知ることができ,またコンベックス型の超 音波内視鏡の登場により,吸引細胞診や嚢胞・胆管のドレ ナージ,薬液の注入といった診断から治療に至るまでの手 技が行われるようになってきている。当院においても以前 より超音波内視鏡の検査を行っているが平成19年よりコン ベックス型超音波内視鏡も購入され,各種の診断・治療を 行い日常診療に役立てている。今回は平成17年10月から平 成21年1月までの超音波内視鏡症例について検討をした。 症例は194例で男性106例,女性88例,年齢は37歳...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 58; p. 300
Main Authors 畠山 啓朗, 高田 淳, 渡部 直樹, 浅野 貴彦, 岩下 雅秀, 田上 真, 林 隆夫, 前田 晃男, 西脇 伸二, 齋藤 公志郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE 2009
一般社団法人 日本農村医学会
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.58.0.300.0

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Summary:近年,超音波内視鏡は急速に進化・発展を遂げてきてい る。超音波内視鏡を用いることにより,消化管の粘膜の向 こう側の状態を知ることができ,またコンベックス型の超 音波内視鏡の登場により,吸引細胞診や嚢胞・胆管のドレ ナージ,薬液の注入といった診断から治療に至るまでの手 技が行われるようになってきている。当院においても以前 より超音波内視鏡の検査を行っているが平成19年よりコン ベックス型超音波内視鏡も購入され,各種の診断・治療を 行い日常診療に役立てている。今回は平成17年10月から平 成21年1月までの超音波内視鏡症例について検討をした。 症例は194例で男性106例,女性88例,年齢は37歳~94歳 で平均70.5歳であった。病変の部位は胆嚢・胆管が79例, 膵臓が77例,消化管が42例,その他が10例であった。胆 嚢・胆管病変では胆嚢ポリープが28例,胆石・総胆管結石 が30例,胆嚢腺筋症が21例,胆嚢炎・胆管炎が14例,総胆 管拡張が6例,胆嚢・胆管腫瘍が5例,その他の病変が2 例であった。膵臓病変では嚢胞性病変が圧倒的に多く57 例,膵炎が12例,膵腫瘍が14例,主膵管拡張が7例,膵石 が2例であった。消化管病変では胃が33例,十二指腸が7 例,食道と大腸がそれぞれ1例ずつであった。胃病変では 粘膜下腫瘍が16例,胃癌が14例,その他が3例であった。 膵臓の嚢胞性疾患は偶発的に見つかることが多く,体外 式の超音波やCT など一般の検査だけでは鑑別診断にも限 界があり,また治療の要否の判断のためにも超音波内視鏡 が必要となってくる。 当院でこの期間に超音波内視鏡を行った58例の内訳は, 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)28例,単純性嚢胞(simple cyst)23例,漿液性嚢胞腫瘍(SCN)2例,仮性嚢胞 (pseudocyst)2例,貯留嚢胞(retension cyst)3例で あった。IPMN の型別では分枝型16例,主膵管型2例, 混合型3例であり,分枝型が多数を占めた。 IPMN は分枝型でも径の大きさや壁在結節の有無,大 きさによっては予後の悪い場合があり,今後も慎重な経過 観察がなされなければいけない。
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.58.0.300.0