当院におけるがん化学療法中止症例の解析
【緒言】 悪性腫瘍の罹患率増加、新規抗がん薬導入などによりがん化学療法の治療件数が増加する一方、副作用等の理由から抗がん薬の投与を中止せざるを得ないケースも増えている。薬剤師が抗がん薬の薬剤指導を行う際には、患者に対し副作用に関する適切な情報提供を行うことが望まれる。しかし、中止に至るレジメン及びその原因となる副作用の把握を十分に行い、中止に至る可能性の高い副作用に関して日常生活及び副作用発生後の注意事項を含めた情報提供が十分に行えているとは言い難い。 そこで我々は、患者に対しより安全ながん化学療法を提供するための情報提供の実施を目指しがん化学療法中止症例の解析を行った。 【方法】 2009...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 193 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
2010
一般社団法人 日本農村医学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.59.0.193.0 |
Cover
Summary: | 【緒言】
悪性腫瘍の罹患率増加、新規抗がん薬導入などによりがん化学療法の治療件数が増加する一方、副作用等の理由から抗がん薬の投与を中止せざるを得ないケースも増えている。薬剤師が抗がん薬の薬剤指導を行う際には、患者に対し副作用に関する適切な情報提供を行うことが望まれる。しかし、中止に至るレジメン及びその原因となる副作用の把握を十分に行い、中止に至る可能性の高い副作用に関して日常生活及び副作用発生後の注意事項を含めた情報提供が十分に行えているとは言い難い。
そこで我々は、患者に対しより安全ながん化学療法を提供するための情報提供の実施を目指しがん化学療法中止症例の解析を行った。
【方法】
2009年4月1日から2010年3月31日までの期間に当院においてがん化学療法が実施された外来295名、入院438名の患者について、それぞれのがん化学療法の予定実施件数、中止件数、また中止件数の多かったレジメンについて中止理由を調査した。
【結果】
調査期間での外来予定実施件数は2609件、中止件数は270件であり、GEM療法が外来中止件数の21%を占めた。一方、入院予定実施件数は3221件、中止件数は237件であり、BV+mFOLFOX6療法が入院中止件数の12.7%を占めた。主な中止理由としては、好中球減少、血小板減少、発熱、末梢神経障害等であった。
【考察】
GEM療法のような単剤のレジメンでも中止に至るような副作用の発現が多く見られることが分かった。今後、本調査の結果を薬剤説明の内容に反映させ、治療を受ける患者により具体的で実情に合った情報提供を行なうことが出来るようにしていきたい。 |
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ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.59.0.193.0 |