介護保険サービス利用者が転倒・転落を起こす要因
【目的】これまで訪問リハビリテーション(以下:リハ)を提供している中で、在宅復帰後に転倒を起こす患者が少なくない事を経験してきた。里字らによると、CVA患者は14%~39%で転倒し、鈴木らによると転倒するものは何回も繰り返す傾向があると報告されている。今回、当院回復期リハ病棟から在宅復帰後の転倒に関する調査と身体機能及びFIM(移動項目)を調査し、回復期から維持期で関わる上での留意点について検討した。【方法】対象は、H19.4.1~9.30までの当院回復期病棟退院患者で通所または訪問リハを利用しているCVA患者20名(男:女=3:2、年齢:77.3±7.7)とした。転倒に関する調査方法はアンケ...
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| Published in | 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2010; p. 250 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
九州理学療法士・作業療法士合同学会
2010
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0915-2032 2423-8899 |
| DOI | 10.11496/kyushuptot.2010.0.250.0 |
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| Summary: | 【目的】これまで訪問リハビリテーション(以下:リハ)を提供している中で、在宅復帰後に転倒を起こす患者が少なくない事を経験してきた。里字らによると、CVA患者は14%~39%で転倒し、鈴木らによると転倒するものは何回も繰り返す傾向があると報告されている。今回、当院回復期リハ病棟から在宅復帰後の転倒に関する調査と身体機能及びFIM(移動項目)を調査し、回復期から維持期で関わる上での留意点について検討した。【方法】対象は、H19.4.1~9.30までの当院回復期病棟退院患者で通所または訪問リハを利用しているCVA患者20名(男:女=3:2、年齢:77.3±7.7)とした。転倒に関する調査方法はアンケートを本人・家族へ実施。身体機能及びFIMに関しては、Br.stage、筋緊張、FIM(移動項目)を退院時と現在とで比較した。検者は、現在利用している通所又は訪問リハの担当セラピストに依頼。なお、対象者へはあらかじめ本研究の主旨を説明し同意を得た。【結果】転倒した者は60%であった。FIMは15%で低下、45%は向上(監視・介助レベル⇒修正自立レベル)していた。FIM向上者の9人のうち8人は転倒し、そのうち5人が複数回転倒していた。さらに、転倒した者の62%が退院時と比べ筋緊張が亢進していた。転倒した者のうち退院後1ヶ月以内に転倒:58%、半年以内:25%、半年以上:16%となった。Br.stage下肢ステージIVで移動が監視、軽介助レベルで退院した者は、退院後1ヶ月以内に100%転倒していた。転倒場所は、ベッド周囲:30%、廊下:23%、トイレ:19%、屋外:19%、絨毯:3%、玄関:3%であり、時間帯は、日中:96%であった。【考察】在宅での環境に十分慣れていない時期に、移動が軽介助・監視レベルであるにも関わらず、自分で移動されていることが転倒の原因になっていると考える。また、筋緊張の亢進は、入院時と在宅復帰後の生活スタイルの変化に患者本人が対応できていないと考える。変化する環境への適応と家族・本人の意識が退院後の転倒に関与していることが示唆される結果となった。【まとめ】今回、入院生活と在宅生活は大きく違う事を改めて感じた。入院中は転倒のない患者でも、在宅生活では転倒のリスクが上がる。その為、早い段階から在宅に生活の場が変わる際に必要なサービスを十分に検討していく事が重要であると考える。そして常に能力の変化に応じた適切な支援が行えるよう、後方連携のネットワークを作ることが重要である。院内、在宅を問わず、それに関わるセラピストは、これらを熟知し、患者の今後の生活イメージと、そこに関わる転倒因子を予測しフォロー体制を考慮していく必要性があると感じた。 |
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| ISSN: | 0915-2032 2423-8899 |
| DOI: | 10.11496/kyushuptot.2010.0.250.0 |