胆道感染症に対するNorfloxacin (AM-715) の基礎的・臨床的検討

新しく開発された合成抗菌剤Norfloxacin (AM-715) の胆汁中濃度の測定と急性および慢性胆道感染症に対する臨床効果を検討した。 3名の患者にAM-715 400mgを1回経口投与した結果, 3~4時間で胆汁中濃度はピークとなり, 2.6~6.0μg/mlであった。6時間後でも1.4~2.5μg/mlの高濃度に維持され, 血中濃度の3~5倍であった。 経皮経肝的胆管ドレナージ (PTCD) または手術的胆管内ドレナージ施行例で, 経過中に胆管炎の症状を呈した31例に本剤1日量600mgを5~7日間投薬した結果, 主治医の判断による臨床効果は著効1例, 有効20例, やや有効4例およ...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 31; no. 3; pp. 351 - 367
Main Author 志村, 秀彦他
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 25.03.1983
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.31.351

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Summary:新しく開発された合成抗菌剤Norfloxacin (AM-715) の胆汁中濃度の測定と急性および慢性胆道感染症に対する臨床効果を検討した。 3名の患者にAM-715 400mgを1回経口投与した結果, 3~4時間で胆汁中濃度はピークとなり, 2.6~6.0μg/mlであった。6時間後でも1.4~2.5μg/mlの高濃度に維持され, 血中濃度の3~5倍であった。 経皮経肝的胆管ドレナージ (PTCD) または手術的胆管内ドレナージ施行例で, 経過中に胆管炎の症状を呈した31例に本剤1日量600mgを5~7日間投薬した結果, 主治医の判断による臨床効果は著効1例, 有効20例, やや有効4例および無効6例で有効率は67.7%であった。自他覚症状および臨床検査所見の改善率は69.0%(20/29) であった。 胆汁内細菌が分離同定できた21例について客観的に薬効評価をするため, UTI薬効評価基準に準拠して胆汁の肉眼的所見と細菌学的効果から委員会判定基準を作成し, 臨床効果を検討したところ著効1例, 有効14例, 無効6例で有効率は71.4%と主治医の判断による臨床効果とほぼ同様の結果が得られた。細菌学的効果は消失率28.6%, 減少を含めた細菌学的効果は47.6%であった。単独感染の委員会臨床効果は有効率66.7%, 複数菌感染のそれは75.0%であった。 副作用は全く認められなかった。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.31.351