早期胃癌III型の考え方 いわゆるHauser型潰瘍癌の1例より

早期胃癌の肉眼分類が定義されてから20有余年を経過した現在では,その形態上よほどの複雑さが無い限りは現在の分類法でことが足りている.しかし症例数が増加するにしたがって少数例ではあるがIIb型やIII型において意見の別れるところである.われわれは,III型早期胃癌とは,潰瘍のようにはっきりした陥凹があり,その辺縁にのみ癌細胞(組織)が存在する場合,すなわちHauserの規準(病理組織学的にみて,固有筋層が完全に断裂し,その間が肝胆組織によって補充された潰瘍が存在し,その辺縁のみに限局して癌細胞,あるいは癌細胞群が存在する時,すなわちUl-IV^1潰瘍の辺縁にのみ限局している癌細胞,あるいは癌細胞...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 19; no. 12; pp. 2417 - 2420
Main Authors 小泉, 和雄, 石井, 惇一, 石井, 博, 安井, 昭, 渋沢, 三喜, 西田, 佳昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.12.1986
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.19.2417

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Summary:早期胃癌の肉眼分類が定義されてから20有余年を経過した現在では,その形態上よほどの複雑さが無い限りは現在の分類法でことが足りている.しかし症例数が増加するにしたがって少数例ではあるがIIb型やIII型において意見の別れるところである.われわれは,III型早期胃癌とは,潰瘍のようにはっきりした陥凹があり,その辺縁にのみ癌細胞(組織)が存在する場合,すなわちHauserの規準(病理組織学的にみて,固有筋層が完全に断裂し,その間が肝胆組織によって補充された潰瘍が存在し,その辺縁のみに限局して癌細胞,あるいは癌細胞群が存在する時,すなわちUl-IV^1潰瘍の辺縁にのみ限局している癌細胞,あるいは癌細胞群の存在を認めた場合のみ潰瘍癌と考えて良いという説)の拡大解釈(Ul-II,III潰瘍も含めて)したものすべてをIII型早期胃癌として取り扱っている.すなわち,一見良性潰瘍と見られる病巣を詳細な組織学的検索によって初めてその辺縁にのみ癌細胞(組織)が証明されるような程度の場合である.以上のような観点より,今回の症例をIII型早期胃癌例として呈示し,その考え方について解説するものである.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.19.2417