顎関節強直症 (顎関節授動術施行症例) の臨床統計的観察 発症原因および発症年齢
東京高等歯科医学校口腔外科, 東京医科歯科大学歯学部口腔外科および第1口腔外科において昭和9年から昭和62年までの間に236人の顎関節強直症患者に対して288例の顎関節授動術を施行した。それらの患者の入院および外来カルテ, 手術記録, X線フィルムを検索し, 原因事項, 発症年齢, 中間挿入物, 予後, 合併症, 後遺症について調べた。この論文では原因事項および発症年齢について報告, 考察を行った。 1. 手術件数は昭和38年以後年々減少傾向にあった。その原因として, 抗生物質の発達, 画像診断を始めとする診断技術の進歩, 手術施行施設の増加が考えられた。 2. 発症原因は炎症が119例 (5...
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          | Published in | 日本顎関節学会雑誌 Vol. 6; no. 2; pp. 346 - 359 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本顎関節学会
    
        20.09.1994
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| Subjects | |
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| ISSN | 0915-3004 1884-4308  | 
| DOI | 10.11246/gakukansetsu1989.6.346 | 
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| Summary: | 東京高等歯科医学校口腔外科, 東京医科歯科大学歯学部口腔外科および第1口腔外科において昭和9年から昭和62年までの間に236人の顎関節強直症患者に対して288例の顎関節授動術を施行した。それらの患者の入院および外来カルテ, 手術記録, X線フィルムを検索し, 原因事項, 発症年齢, 中間挿入物, 予後, 合併症, 後遺症について調べた。この論文では原因事項および発症年齢について報告, 考察を行った。 1. 手術件数は昭和38年以後年々減少傾向にあった。その原因として, 抗生物質の発達, 画像診断を始めとする診断技術の進歩, 手術施行施設の増加が考えられた。 2. 発症原因は炎症が119例 (50.4%) と最も多く, 次いで外傷が73例 (30.9%) で, 先天性は10例 (4.2%) であった。近年は外傷の割合が多くなっていた。 3. 局所炎症の原因では骨髄炎・骨膜炎が35例 (43.2%), 次いで中耳炎が32例 (39.5%), 耳下腺炎が9例 (11.1%) であった。 4. 全身性疾患では多発性関節炎が最も多く, 12例 (31.6%) を占め, 次いで熱性疾患7例 (22.5%), 肺炎6例 (18.4%) であった。 5. 外傷では転落・転倒が40例 (54.8%) と最も多く, 次いで交通事故20例 (27.4%) であった。鉗子分娩は6例 (8.2%) でみられ, 顎関節円板切除術後の発症例が2例あった。 6. 発症年齢は0歳から65歳までに分布していた。5歳以下が129名 (54.7%), 6-10歳が58名 (24.6%) で両者を合わせて, 約80%が10歳以下の発症であった。 | 
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| ISSN: | 0915-3004 1884-4308  | 
| DOI: | 10.11246/gakukansetsu1989.6.346 |