線維筋形成異常による孤立性左総腸骨動脈瘤の一手術例

症例は52歳, 男性. 腹部違和感を主訴に, 近医受診し, 左総腸骨動脈瘤と診断された. CTおよび血管造影にて, 左総腸骨動脈に動脈瘤を認め, 動脈壁の石灰化などの動脈硬化性変化は認めず, 左右の外腸骨動脈には, 線維筋形成異常 (fibromuscular dysplasia: FMD) に特有の string of beads 様の壁不正像を認めた. 手術は, 左後腹膜アプローチを用い, 瘤切除および人工血管にて再建した. 病理組織診断では, FMDのなかの medial fibroplasia に一致する所見であった. 孤立性腸骨動脈瘤は比較的稀であるために, たびたび症例報告されてい...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 27; no. 3; pp. 173 - 176
Main Authors ピアス, 洋子, 塚越, 芳久, 浮田, 英生, 志村, 仁史, 中谷, 充, 中島, 伸之, 増田, 政久, 大音, 俊明, 茂木, 健司, 林田, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.05.1998
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.27.173

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Summary:症例は52歳, 男性. 腹部違和感を主訴に, 近医受診し, 左総腸骨動脈瘤と診断された. CTおよび血管造影にて, 左総腸骨動脈に動脈瘤を認め, 動脈壁の石灰化などの動脈硬化性変化は認めず, 左右の外腸骨動脈には, 線維筋形成異常 (fibromuscular dysplasia: FMD) に特有の string of beads 様の壁不正像を認めた. 手術は, 左後腹膜アプローチを用い, 瘤切除および人工血管にて再建した. 病理組織診断では, FMDのなかの medial fibroplasia に一致する所見であった. 孤立性腸骨動脈瘤は比較的稀であるために, たびたび症例報告されている. しかし, その成因は動脈硬化性のものが多く, FMDによる孤立性総腸骨動脈瘤の報告はわれわれの調べえた限りではほかに1例認めるのみであった. 今回, FMDによる総腸骨動脈瘤の一手術例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.27.173