伊那領家帯, 高遠花崗岩の年代学的, 同位体岩石学的研究
伊那地方領家帯に分布する高遠花崗岩は, 泥質-砂質変成岩を主体とする領家変成岩中に貫入しており, 2つの岩体(北部岩体, 南部岩体)からなる.北部岩体は主に中粒の黒雲母花崗閃緑岩からなり, 黒雲母花崗岩および普通角閃石-黒雲母トーナル岩を伴う.南部岩体は, 普通角閃石-黒雲母トーナル岩からなる.鉱物組み合わせおよび全岩化学組成から, 黒雲母花崗閃緑岩および黒雲母花崗岩は, 普通角閃石-黒雲母トーナル岩とは異なるマグマから形成されたと考えられる.そこで, 黒雲母花崗閃緑岩および黒雲母花崗岩を"高遠花崗閃緑岩"と, 普通角閃石-黒雲母トーナル岩を"高遠トーナル岩&qu...
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Published in | 地質学雑誌 Vol. 105; no. 3; pp. 181 - 192 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本地質学会
15.03.1999
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ISSN | 0016-7630 1349-9963 |
DOI | 10.5575/geosoc.105.181 |
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Summary: | 伊那地方領家帯に分布する高遠花崗岩は, 泥質-砂質変成岩を主体とする領家変成岩中に貫入しており, 2つの岩体(北部岩体, 南部岩体)からなる.北部岩体は主に中粒の黒雲母花崗閃緑岩からなり, 黒雲母花崗岩および普通角閃石-黒雲母トーナル岩を伴う.南部岩体は, 普通角閃石-黒雲母トーナル岩からなる.鉱物組み合わせおよび全岩化学組成から, 黒雲母花崗閃緑岩および黒雲母花崗岩は, 普通角閃石-黒雲母トーナル岩とは異なるマグマから形成されたと考えられる.そこで, 黒雲母花崗閃緑岩および黒雲母花崗岩を"高遠花崗閃緑岩"と, 普通角閃石-黒雲母トーナル岩を"高遠トーナル岩"と呼ぶ.高遠花崗閃緑岩は, 85.2±6.6 MaというRb-Sr全岩アイソクロン年代を示す.これは, 高遠花崗閃緑岩の活動時期を示すと考えられる.高遠トーナル岩の活動は, これよりも古い.高遠花崗閃緑岩のSr・Nd同位体比初生値は, これまでに報告された領家花崗岩の同位体比初生値の範囲内にある. |
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ISSN: | 0016-7630 1349-9963 |
DOI: | 10.5575/geosoc.105.181 |