炎症性偽腫瘍と考えられた骨破壊を伴った上顎洞良性疾患症例
上顎洞の骨破壊を伴った良性疾患の3症例を経験した。全例が画像所見で骨破壊があり悪性腫瘍を強く疑わせる所見を示していた。確定診断を目的として開洞生検術を施行し, 病理組織ではリンパ球・プラズマ細胞等の増生と広範囲の線維化がみられ, 細胞に異型性は認められず非特異的慢性炎症の像を有していた。 “臨床上腫瘍の所見を呈するが, 組織学的に非特異的慢性炎症の像を呈するもの” を一般的には炎症性偽腫瘍とよんでいる。炎症性偽腫瘍は肺や眼窩を筆頭に全身の様々な部位での報告例がある。炎症性偽腫瘍の成因は不明だが, 外傷・出血・炎症・免疫反応等が推測されている。今回の3症例は広義にはこの炎症性偽腫瘍に相当すると考...
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          | Published in | 耳鼻咽喉科展望 Vol. 41; no. 6; pp. 591 - 596 | 
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            耳鼻咽喉科展望会
    
        15.12.1998
     | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0386-9687 1883-6429  | 
| DOI | 10.11453/orltokyo1958.41.591 | 
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| Summary: | 上顎洞の骨破壊を伴った良性疾患の3症例を経験した。全例が画像所見で骨破壊があり悪性腫瘍を強く疑わせる所見を示していた。確定診断を目的として開洞生検術を施行し, 病理組織ではリンパ球・プラズマ細胞等の増生と広範囲の線維化がみられ, 細胞に異型性は認められず非特異的慢性炎症の像を有していた。 “臨床上腫瘍の所見を呈するが, 組織学的に非特異的慢性炎症の像を呈するもの” を一般的には炎症性偽腫瘍とよんでいる。炎症性偽腫瘍は肺や眼窩を筆頭に全身の様々な部位での報告例がある。炎症性偽腫瘍の成因は不明だが, 外傷・出血・炎症・免疫反応等が推測されている。今回の3症例は広義にはこの炎症性偽腫瘍に相当すると考えられた。治療は全例上顎洞根本術が施行された。現在までに再発・悪性化は認められていない。 | 
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| ISSN: | 0386-9687 1883-6429  | 
| DOI: | 10.11453/orltokyo1958.41.591 |