Ge, SiのD-状態とD-バンド

半導体中の不純物準位はしばしば水素原子模型で近似される. 負にイオン化した水素原子, H-, との類似より, 半導体の不純物ドナーにもう一つの電子がつかまるD-状態が果して存在するか, どうかは長い間の疑問であった. 最近のサブミリ波分光の発達により, D-状態の存在はすでに疑う余地のないものとなった. H-と違って, D-中心の電子は母体エネルギー帯の異方性, 多谷性, また大きな電子軌道半径を反映して, 一層興味深い振舞を示す.著者の研究室では3Hcによる0.35Kの低温での長波長分光と,一軸性応力,磁場等の手段により, D-状態の存在を一層現実化すると共に, 新しい現象を多く見出すことが...

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Published in日本物理学会誌 Vol. 34; no. 3; pp. 221 - 233
Main Author 成田, 信一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本物理学会 05.03.1979
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ISSN0029-0181
2423-8872
DOI10.11316/butsuri1946.34.221

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Summary:半導体中の不純物準位はしばしば水素原子模型で近似される. 負にイオン化した水素原子, H-, との類似より, 半導体の不純物ドナーにもう一つの電子がつかまるD-状態が果して存在するか, どうかは長い間の疑問であった. 最近のサブミリ波分光の発達により, D-状態の存在はすでに疑う余地のないものとなった. H-と違って, D-中心の電子は母体エネルギー帯の異方性, 多谷性, また大きな電子軌道半径を反映して, 一層興味深い振舞を示す.著者の研究室では3Hcによる0.35Kの低温での長波長分光と,一軸性応力,磁場等の手段により, D-状態の存在を一層現実化すると共に, 新しい現象を多く見出すことが出来たので紹介する. D-状態が集ったと考えられるD-バンド, またさらに不純物濃度の増加による非金属-金属転移は不純物伝導の中心課題で多くの研究がなされてきたが, ここでは著者らの光の手段による研究を述べる.
ISSN:0029-0181
2423-8872
DOI:10.11316/butsuri1946.34.221