Epstein-Barr virus (EBV) 脳炎を発症した透析患者の1例

維持血液透析を行っていた74歳男性に発症したEpstein-Barr virus (EBV) による脳炎の1例を報告する. 本例は, 血清の抗EBV抗体価の変動および臨床症状より診断した. 主要症状は, 急速に進行する意識障害であった. 伝染性単核症の症状はなかった. 頸部硬直はなく, 髄液も発症時に清であり, 髄膜炎の所見はなかった. EBV脳炎は, self-limitedな疾患であり, 予後は他のウイルス性脳炎と比べて比較的良好といわれている. 本例では, 合併症予防と呼吸管理を主体に治療を行い, 約2か月後, 脳炎は軽快した. しかし, 痴呆症状が残り, 脳炎の後遺症と考えられた. 透...

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Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 26; no. 10; pp. 1644 - 1648
Main Authors 小友, 良, 石井, 完治, 佐藤, 敬悦, 安田, 貢, 松川, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.10.1993
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ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.26.1644

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Summary:維持血液透析を行っていた74歳男性に発症したEpstein-Barr virus (EBV) による脳炎の1例を報告する. 本例は, 血清の抗EBV抗体価の変動および臨床症状より診断した. 主要症状は, 急速に進行する意識障害であった. 伝染性単核症の症状はなかった. 頸部硬直はなく, 髄液も発症時に清であり, 髄膜炎の所見はなかった. EBV脳炎は, self-limitedな疾患であり, 予後は他のウイルス性脳炎と比べて比較的良好といわれている. 本例では, 合併症予防と呼吸管理を主体に治療を行い, 約2か月後, 脳炎は軽快した. しかし, 痴呆症状が残り, 脳炎の後遺症と考えられた. 透析患者に発生したEBV脳炎の報告は, 文献を検索した限りではこれまでなく, 本例は透析患者におけるその第1例目である.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.26.1644