破裂脳動脈瘤に対する亜急性期直達術の問題点 特に症候性血管攣縮に関連して

破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血 (SAH) において症候性血管攣縮 (SV) の発生時期にあたる亜急性期の手術成績をSVの発現との関連を中心に検討した.対象はSAH 533例中, 亜急性期に直達術を施行した54例 (SA群) とし, 早期手術例 (E群) : 272例, 待期手術例 : 95例, 非手術例 : 112例を比較対照群とした.全症例を通じてのSVの発生頻度は37%であるが, SA群では44%と最も高率であった.またSVの発生時期はE群では91%が術後Day3~10に集中し, SA群ではSVの83%が術後Day1~4の早期に発生した.SA群のSV発生率は入院時CT上のFisher分類...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中 Vol. 13; no. 5; pp. 367 - 372
Main Authors 下田, 雅美, 佐藤, 修, 小田, 真理, 津金, 隆一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.10.1991
Online AccessGet full text
ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.13.367

Cover

More Information
Summary:破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血 (SAH) において症候性血管攣縮 (SV) の発生時期にあたる亜急性期の手術成績をSVの発現との関連を中心に検討した.対象はSAH 533例中, 亜急性期に直達術を施行した54例 (SA群) とし, 早期手術例 (E群) : 272例, 待期手術例 : 95例, 非手術例 : 112例を比較対照群とした.全症例を通じてのSVの発生頻度は37%であるが, SA群では44%と最も高率であった.またSVの発生時期はE群では91%が術後Day3~10に集中し, SA群ではSVの83%が術後Day1~4の早期に発生した.SA群のSV発生率は入院時CT上のFisher分類group1, 2においても決して低値を示さず, 来院時のWFNS分類が不良である程術後より早期にSVを来す傾向にあった.他群と比較した来院時のWFNS分類別予後は, Grade1~2で予後良好例の比率が最も高値を示したが, 逆にGrade3~4では最も低値であり, SA群における予後不良因子としては入院時WFNS4, Fisher分類3~4, 脳内出血随伴例, 術後早期のSV発現が挙げられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.13.367