stage I・II 舌癌の治療成績について
再建外科治療のめざましい発展により, T3, T4の大きな舌癌には手術を主体とした治療が選択されるようになったが, 一方, T1, T2の小さな腫瘍に対する治療法は現在でも部分切除術と密封小線源に大別される。当科では1946年より舌癌の治療を行っており, 1980年代初期までは原発巣の治療方法はラジウム小線源が主体であった。1946年から1970年までの5年粗生存率はT1 : 69.9% (N=136), T2 : 52.9% (N=231) であり成績はおもわしくなかったが, コンピュ-タによる線量分布計算を応用したこと, 頸部リンパ節転移に対し積極的に頸部郭清術をとりいれたことなどにより,...
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| Published in | 耳鼻咽喉科展望 Vol. 45; no. 1; pp. 35 - 43 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
耳鼻咽喉科展望会
15.02.2002
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0386-9687 1883-6429 |
| DOI | 10.11453/orltokyo1958.45.35 |
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| Summary: | 再建外科治療のめざましい発展により, T3, T4の大きな舌癌には手術を主体とした治療が選択されるようになったが, 一方, T1, T2の小さな腫瘍に対する治療法は現在でも部分切除術と密封小線源に大別される。当科では1946年より舌癌の治療を行っており, 1980年代初期までは原発巣の治療方法はラジウム小線源が主体であった。1946年から1970年までの5年粗生存率はT1 : 69.9% (N=136), T2 : 52.9% (N=231) であり成績はおもわしくなかったが, コンピュ-タによる線量分布計算を応用したこと, 頸部リンパ節転移に対し積極的に頸部郭清術をとりいれたことなどにより, 1971年から1980年までの5年粗生存率はT1 : 79.2% (N=63), T2 : 69.0% (N=78) まで向上した。1982年からはT3, T4症例に対して再建技術が導入されるとともに, T1, T2においても徐-に手術適応が増加し, 1994年放射線管理病棟閉鎖を機会に小線源治療を全廃した。その後は今日まで部分切除術を基本とした治療を行っている。今稿では1982年1月から1996年12月までに根治治療を行ったstage I・II 舌扁平上皮癌, 未治療例283例を対象として治療法別に分類し, 以下の成績を得た。局所再発率, 頸部再発率, Kaplan-Meier法による5年原病生存率は小線源治療群ではstage I (N=58) で15.5%, 39.7%, 89.5%, stage II (N=58) で15.5%, 43.1%, 84.2%であった。一方, 手術治療群ではstage I (N=75) で14.7%, 21.3%, 84.6%, stage II (N=42) で14.3%, 40.5%, 87.2%が得られ, 治療法による成績の有意差は認めなかった。全治療統合群におけるstage I・II の5年累積生存率は78.3% (N=143), 71.2% (N=140) であった。 |
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| ISSN: | 0386-9687 1883-6429 |
| DOI: | 10.11453/orltokyo1958.45.35 |